【BL小説】ぬらりひょんの孫

□ちやほやしたい。 【狒(+牛)首】
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「牛鬼殿、酒をおつぎしましょうか?」
「ああ」
「狒々殿もいかがですか?」
「おう」


奴良組の宴会が始まって早一時間。
皆が盛り上がってきた頃、首無は忙しく幹部たちの間を走り回る。





「首無は気が利くのう」


首無が自分の器に酒を注ぐのを見ながら、狒々は上機嫌で言った。


「このような美人に毎日こうも甲斐甲斐しく世話をしてもらえるとは、全く本家の者たちも羨ましい限り」


隣の牛鬼も賛同する。


「ほう、牛鬼、珍しいのう。お前がそのようなことを言うとは。美人に酌されてもう酒が回っておるのか?」


にやにやと笑いながら、牛鬼を見て狒々が言った。
首無は二人の間で、何も言わず、気恥ずかしそうに少しだけ笑った。


「どれ、首無、酌はよいからこちらに近う寄れ」


狒々がその長い腕を伸ばして首無の肩をぐっと抱き寄せる。


「!・・・っ、狒々殿、」
「なぁに案ずるな、鯉の坊は今ぬらりひょんと話していてこちらを見ておらん」
「そ、そういうことではなくてですね、」
「照れておるのか、愛い奴め」


そのようすを見た牛鬼がさらりと言い、それに首無はさらに顔を赤らめる。


「牛鬼殿まで・・・っ」


鯉伴やぬらりひょんが相手であればさりげなくその手を払いのけてすり抜けることができるのだが、
それが狒々であるとどうしてよいかわからず、首無はそろそろとその手の甲に触れるばかりしかできないでいる。
狒々はというと、その挙動不審な様子を眺め、嬉しそうに目を細めている。
しばらくそうしたあと、空いている手でその指を掴み、面をずらして口元へ引き寄せた。


「のう首無、一晩でよい、儂のもとへ来んか?」


そう言って、その細い指に口付けた。









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ちやほやしたい。








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