【BL小説】ぬらりひょんの孫

□朝起きると。 【リク首】
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「おはよー」
「おはようございますリクオ様」


朝起きて食卓につくと聞こえてきたのは、何やら耳慣れない女の声。
鈴のように軽やかに高く、それでいて落ち着いていて心地よい。
しかし、こんな声の女妖はうちてにいただろうか・・・?
リクオは、あたりを見回す。
と、リクオのすぐ横を美しい金髪が掠める。
着ているものは男物だし、大きめの羽織の上から見た後ろ姿からは体型はわからないが、なんだかこの人は女だという気がした。
肩のあたりまで伸びたその金髪は、彼女が味噌汁やら漬物やらの器を一つ一つ机の上に置く度にさらりと揺れる。
気がついたら、その髪に手を伸ばしていた。
彼女に名前を呼ばれ、ふと我に返る。


「リクオ様?」


やはり彼女が先程の声の持ち主で、しかし振り向いたその顔は、至極見慣れたものだった。


「・・・首無?」


気が付いて、首無は説明する。


「ああ、お恥ずかしい姿を・・・。昨晩黒たちと賭けをしましてね。
負けたら、女人の姿になるという最近噂の酒を試してみろということでして・・・
まあ、見た目としては髪が少し伸びたくらいであまり変わらないんですけど」


確かに、もともと中世的な顔立ちであるため顔はあまり変わっていないし、体つきも・・・残念ながら凹凸はあるほうではないらしいが、
そう言ってはにかむ様子に、今日はやけにどきどきする。
リクオはそれに気づかれないよう、ふっと目を逸らした。
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