nov1

□某CMソング
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いっぱい食べる君がすき

おおきなひとくち

がまんなんて らしくないよ

いっぱい食べる君がすき





「むふふふふふ」



「?」



「何でもなーい、いいから気にしないで食べて食べて」





目の前で、私の作ったオムライスをもぐもぐほお張る花道は、とっても可愛い。


おもわずにまにまとにやける頬を押さえながら、ほっぺたを膨らます花道を見る。というか見つめる。


あぁ、もしも花道のお嫁さんになれたら、こんな幸せな時間が毎日、いや、毎朝毎晩見れるのか、そう思うと、未来のお嫁さんが羨ましい。むむむむ、前言撤回、憎らしい。


だけど、今この一瞬でも、私の作ったオムライスをむしゃむしゃ食べている彼の正面を独り占めできることに、私はささやかな幸せを覚える。









「んー、まぁまぁだな、」


「こないだのグラタンよりかはうまいぞ。」


「俺、チキンライスより上になんとかソースかかってるやつが食いてぇ!」









「‥‥‥‥‥‥‥はぁ、」




私が花道にごはんを作ってあげるのは、決まって土曜日の夜。毎週の私の楽しみなのだ。



なのに。




「ふぅ〜、食った食った。」


「食費が浮くな、もうけもうけ」


「おう、これで明日もパチンコに行ける!」


「ごちそ〜さん」






毎週毎週、花道にひっついて来るもんだから、せっかくの花道とのラブラブ新婚生活ごっこの邪魔でしかない。本当に帰れ。





「花道と洋平以外まだ許した覚えないんですけどね、私。」


「え、何を?」


「私の家に足を踏み入れることを。」


「なんだよ差別すんなよなぁ、」



口を尖らせる大楠を筆頭に、ぶーぶー言う髭とデブ。もとい野間と高宮。



「差別じゃない、これは区別だ」



だいたい勝手に上がりこんできては、私の作った料理にいちゃもんをつけて帰って行くこの集団は、悲しくも私の悪友。


洋平は料理に文句を言わないから別にかまわない。けど。なんやかんやと褒めないこいつらは気に食わない、心底気に食わない!





「今度はハンバーグ食いてぇな〜」


「いや、ロールキャベツだ!」


「なにおう焼肉だ!」






「お前ら食費払えよ。」



目を細めてつっこむとまたもぶつぶつ文句を言い始める始末。




「なまえ、いつもすまん‥‥‥」



三人で次のメニューを言い合う塊に呆れた目線を送っていると、目の前に座る愛しい彼が申し訳なさそうに私を見つめるのに気づいて思わず胸がきゅんとなる。これが噂の胸きゅん‥‥。




「花道は気にしなくていーの、」


花道のために作ったんだから。



そう笑うと、照れたのか顔を赤くする花道が可愛すぎる。


照れ隠しに「なまえは食わねーのか」と聞いてくる彼に、「もうお腹いっぱい」と答えると、「ダイエットはよくねーぞっ」と心配そうに見つめてくる花道。



いやもう本当にお腹いっぱいなんです、君が可愛すぎて。




これは本心だけど、言うと花道はきっと男なのに可愛くねー!と怒るだろうから言わない。



なんでこんなにも彼は私を虜にするんだろうか。さっきまで3人の馬鹿面に嫌気さえさしていた私を、一瞬でほっこりした気持ちにしてくれる。



「ごちそーさまでした!」



そう大きく声を上げてぱちんと手を合わせる花道に、私はもう何回惚れ直しただろうか。



あの付属品どもは置いておいて、これからも花道が私の作る料理を食べてこうして笑ってくれるなら、私は一生それをおかずに生きていけそうな気すらします。










いっぱい食べる君だから

大盛りおかわり

今日も明日も 一緒に食べよ

おかわりって笑う 顔がすき




いっぱい食べる君がすき


ね、


いっぱい食べる君がすき












end
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