nov1
□僕は君が好き
1ページ/2ページ
「あ、今日みょうじ日直な。」
「のぉぉぉぉぉぉーー!!!ちょっ、待ってよ先生!私、今日
「ついでに、黒板消しといて。あと、窓も閉めといて。じゃ、よろしくなー。」
「ちょっ、」
反論しようとした私の鼻先で、教室のドアがぴしゃりと閉まった。
「先生の馬鹿ーっ!!!」
そう言ってはみたものの、どうすることもできず、先生の指示に従ってしまう私は、とてつもなく優等生だと思います。
「はぁー、今日は昨日の分まで、流川君のかっこいい姿を見れると思ったのになーちくしょー。」
くそぅ、昨日、おつかいなんて行かなきゃよかった。
なんて独り言を言いながら、面倒な日誌の空欄を埋めていく。
(んもぅ。なんで今日の天気なんか書かなくちゃいけないのよー。)
あれから何分経ったのかな。
私はようやく、日誌を書き終えた。
「‥ぎゃー!!もうこんな時間!早く行かなきゃっ、」
私は急いで黒板を消して、窓を閉めて、
ドアにまっしぐら。
バンッ
「ぶっ!!!!‥‥いった‥。」
開け放った扉から勢いよく教室を飛び出したら、ちょうど教室に入って来た人にぶつかった。
「っぎゃー!!!ごごごごごごめんなさいーっ!」
「‥別に俺は大丈夫だけど。」
「ほんとにほんとにごめんなさ、」
なんか妙にでっかい人にぶつかったなー。と思って、
ゆっくりゆっくり見上げると、そこには
「っぎゃー!!!!るるるるる流川君!!」
「‥ダイジョーブ?」
鼻、赤くなってるけど。
って、私の鼻を指さしながら、教えてくれてる流川君が居た。
「とととととんでもないです!る、流川君こそ、大丈夫デスカ?!」
「まぁ。」
「あっ、どうぞ、教室に用事があったんでしょ?」
邪魔してしまったと気づいた私は、急いで扉の横に退いた、のに
なななななななんと!!流川君に腕を引っ張られているではありませんか!!!
「えっ、あ、のっ、流川くん、」
「俺が用事あったの、オマエ。」
「えっ、と‥、え?わた、し?」
無言でうなずいた流川君は、まだ、掴んだ私の腕を離してくれなくて、
私の心臓はそれはもう、バキバキ鳴ってて、顔もきっと真っ赤だろうな、って考えたら、さらに恥ずかしくなった。
「‥‥、なんで練習、見に来ねーの?」
「‥‥‥‥え?」
「お前、この前まで練習見に来てたのに、最近来てない。」
「あ、うん、最近はなんか、色々、忙しくって、」
その‥‥と、回らない頭で言葉を必死に繋ぎながら顔を上げると、思いのほか近くにあった流川くんの目と私の目がバチッて合わさって、もう、目が離せなくなりました。
「‥‥おめーが見に来ないと、つまらねー。」
「え、それどーゆー、意味‥。」
数秒、見つめ合っただけなのに、私には、長い長い時間に思えて。
もうドキドキしすぎて吐きそう。
「‥‥みょうじがスキ‥‥‥‥かも。」
ぼそっと聞こえた、流川君の声に、突然過ぎて、何て返したら良いのか分からなくて、呆然としてたら、
流川君も自分の言ったことにちょっとびっくりした様子で、わかんねー、と呟いてから、おめーはいやか?って流川君が聞くから、私はただ、首を左右に振ることしかできなくて。
「‥‥じゃ、行くぞ。」
照れ隠しに、くるりと振り返った流川君を、急いで追いかけて、
さっきの、もう1回言って!!って言ったら、
顔を赤くして、どあほう、って言う流川君が、
すごくすごく可愛かったのは、私だけが知ってる事実です。
僕は君が好き
(あとで、私も好き、って言わなくちゃ。)
end