nov1

□いつもいつも
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自分よりも小さな体が、更に小さく蹲って自分の足の間にいるのを上から見下ろすのは、少し嬉しい。



それでも。



そこで行われている行為にはやっぱり慣れずに花道は切なげに洋平の名前を呼ぶ。



「ん、なに‥、はなみち?」



呼ばれて顔を上げた洋平の唾液でてらてらした唇を見て思わずごくりと喉が鳴る。


ぺろりと自分の唇を舐めた洋平が花道へと顔を近づけ、「恥ずかしいの?」と聞く。





当たり前じゃないか。


こうして晴れて恋人になった2人でも、こんな行為をするのは未だに数回程度。


恥ずかしがり屋な自分を思って洋平も我慢しているのだろうけれど、そんな自分はこんな前戯に似た行為さえもどかしくなる。






洋平はいつも、俺に洋平のを咥えさせて「はなみち見下ろすとすっげーコーフンする」と嬉しそうに目を細める。


征服感、みたいな?

はなみちは全部俺のモン、みたいな、そんな感じ。



前に洋平はそう言っていた。




自分だって、「洋平が俺のを舐めている」という事実は嬉しいのは嬉しいけれど。


恥ずかしさもあり、なにより、洋平が言うような、征服感は全く感じられないでいた。


いくらこんな風に、洋平がいやらしくぺろぺろ舌を絡ませていたって、少し苦しそうに咥えていたって、いつだって自分を征服しているのは洋平のような、そんな気がして。




「ふ‥‥っようへ、‥‥」


上気した顔を洋平に向けもう一度名前を呼ぶと、花道の求める行為が分かって、洋平はくすりと笑って唇にキスを落とす。





いつだって、主導権を握っているのは洋平なのだ。


恋人になるのも、こういうことをするのも、全て。



「しよう?」とか「したいでしょ?」とか、はたまた何も言わないときにも。



目の前の彼は自分をドキドキさせる天才だと思う。







唇がようやく離れてから、花道がぽつりと呟いた。



「‥っぁ、いつだって‥‥‥‥余裕ねぇの、お、俺だけだなんてイヤだ、」



洋平の手の中であっけなく達した花道の白濁がついた指をぺろりと舐めながら身を起こす洋平は、その言葉に一瞬戸惑った。



「俺だって、ようへいを、」


もっと、ドキドキさせてーのに、



そう口にして顔を真っ赤にさせながら眉を寄せる花道を、洋平はなんて可愛いんだろうと思った。



「はなみち、


俺だって、今すげー余裕ねーよ?」


ていうかいつもだよ。




毎日一緒にいるときも、練習を見てるときも、隣で寝るときだって。余裕など感じたことは一度もない。


いつだって、自分を色んな形でドキドキさせてくる花道に、限界なのは俺の方なのだ。



笑ってそう答えると、徐に花道の手が洋平の胸に伸びる。





「‥‥あ、ほんとだ‥‥」



一定のリズムを刻む心臓が、少し早く動いている。その事実に満足そうに笑う花道を見て、洋平もそっと笑った。



「俺も聞こうっと」


そう言って先ほど起こしかけた身をもう一度花道の胸へぽすんと預ける。



「あはは、どきどきいってんね、はなみちの心臓」



直接胸に耳をあてる洋平の頭を軽くなでて、「うん」とだけ呟き、「俺もいつもだもん」と答えた。




毎日、毎時間、毎分、毎秒。


このドキドキをくれるのは、いつだってきみしかいないんだ。




end


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