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□恋乙番外編 はろうぃーん!
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「ふーん」



隣で突然、氷点下の如く冷たい声が聞こえて、思わずシリウスとジェームズは肩を竦めた。



「え、リーマス、突然なに、?」



さっきまで特に何も会話なんかしていなかったから、リーマスのその発言に内心びくびくしながらも、ジェームズが恐る恐る聞き返すと、先ほどとはがらりと変わって普段と同じような声色の返事が届いた。



「あぁ、いやね、ナマエが僕の悪口を言ってるみたいだからさ、」



話す内容とは裏腹にとっても楽しそうに笑うリーマスに2人は顔を引き攣らせ、そしてすぐに、ん?と思う。


歩いている学校の廊下をちらりと見渡しても、その本人、ナマエの姿は見当たらない。



「でもリーマス、ナマエなんて近くにいないけど‥‥‥」


「ほら、あそこだよ」



ジェームズの疑問にあっさりと答えたリーマスが指さす先に、確かに彼女はいた。

けれども。



「リーマス‥‥‥、お前ほんとに聞こえたのか?あいつらの会話。」



自分達の歩く、約15メートルほど先を、見覚えのある姿が、知らない誰かと歩いているのは確認できるけれど。


ナマエたちの会話の内容は聞こえてこない。そればかりか、シリウスとジェームズには、彼女の特徴的な声さえこの雑踏の中では聞き分けられないのに。



驚くシリウスに、リーマスはさも楽しそうにくすくす笑って、「世界で一番恐いのはこの僕なんだってさ、」と多分ナマエの発言なのであろう言葉を繰り返す。



「ナマエったら陰口なんてよくないよねー、お仕置きしなきゃ」







「うわぉ‥‥‥‥ナマエ、ご愁傷様。」


「‥だな、」



普段、2人がリーマスの標的になることはなくても、側で一緒になってナマエを虐めている分、その恐ろしさは十二分にわかっていて。


先ほどのリーマスの発言に苦笑いを零しながらも、楽しけりゃそれでいいかとすぐににやりと笑う彼らは、とことん快楽主義である。






「あ、僕今から監督生の集まりがあるから、」


道をすっと逸れたリーマスが、ふり返って「何か面白いこと考えといて、ハロウィン」とだけ言い残し、手をあげてからすたすた歩いていくのを見送って、シリウスとジェームズはまた寮へと続く廊下を歩き出した。




「あいつあれでも監督生かよ、」


「そんなことリーマスに言ってごらんよ、素っ裸にされて寮内引き摺りまわされるよ。」


「‥‥‥‥うわ、寒ぃ」


「でも楽しみだね、ハロウィン。ナマエにはばれないようにしなきゃ、」


「あー、何にするかなー、いたずら。」


「リーマスが帰ってきたらまた作戦会議だね」


「おう」



2人は視線を合わせてにやりと笑い合ってから、寮へと急いだ。






ハロウィンは絶好の悪戯日和





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