機械世界―弐―

□伝わらない、伝えたい
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愛してる
愛してる
愛してる

どれだけ呟いても伝わらない
伝わる訳がない
何故って?
言ってないからさ

好きだ、大好きだ…それは言えても愛してるは言えない
その言葉にどれだけ俺の気持ちが篭っているか
その言葉がどれだけ勇気がいるか…
分かるわけないだろ?

この言葉の意味が伝わらなければ無駄なのだ
でも相手には伝わらない

好き、大好き

「愛してる」

『え?』

ポツリと呟いた声に反応するZZ
お菓子を掴もうとしていた手がピタリと止まる
キョトンとした表情で言葉を呟いたMS_プラスを見ている
プラスは何処か罰が悪そうに目をそらす

「…何でもねぇ」

そう、何でも
そのままふ〜んと言って興味を失ってこの話は終わり
そう思ったんだ
しかし違った
ZZはニコリッと笑うとプラスに近づく

『何だ、好きな奴でもできたのか!』

………は?
この天使…じゃなくてZZは今何と言っただろうか?
好きな奴ができた?
……そんなの……

「何で…そう思うんだよ?」

チラリッとZZを見る
そこには相変わらずニコニコしているZZ

『愛してるって言ったからだ!』

聞こえてたのか
ハッキリとプラスが呟いた言葉を言うZZに頭痛さえ覚えた
こんなにも悩んでいるのは目の前にいるZZが原因だと言うのに…このZZは人の苦労も知らずにグサリグサリと確信をついてくる
無自覚と天然が混じればこうなるのか
恐ろしい

「……ならよぉ、相談に乗ってくれねぇ?」

プラスがZZをハッキリと見る
そして意地悪じみた笑みを浮かべる

『相談?おう!いいぞ!!!』

友の相談は断れないぜ!!!
そう高々と言われた言葉にグサリッと何か鋭利なものが胸にぶっ刺さったのは…まずは置いておこう
引きつりそうになる口元を何とか隠し、ZZに相談をはじめる

「あのな…そいつさぁ…スゲェ鈍感なんだよ、あと天然というあわせ技も持っててよ……」

『鈍感?天然?美味いのかそれ!』

……
さっそく相談するのを諦めたくなる質問に何処か愛しいと感じる感覚
やっぱりZZの事大好きだ俺…
改めて感じる愛しさにプラスは笑みをこぼす

「…まぁ、それは置いといて…つまりは俺の気持ちに気づいてくれねぇんだよな」

『そうなのか?』

首を傾げるZZ
うん、可愛い
スゲェ可愛い

「おう、そうなんだ」

深刻な問題
俺にとってはスゲェ深刻な問題
何回好きと言っただろう
何回大好きだと言っただろう
何回………

『う〜ん……よし!なら今から伝えに行こう!!!』

立ち上がりグイッとプラスの腕を引っ張り上げるZZ
その表情は満面の笑み
糞可愛い←
いや、ちょっと待て
え?

「今らか…?」

それはつまり?

『正面から言えばきっと伝わるはずだ!!!』

………?!
どうしてそうなった?!
待て、待ってくれ!!!!!

「ちょっ、ZZ?!待て待て待て!!!突然すぎる行動に俺の思考置いてけぼり?!いや、それ以上に色々と急展開すぎるんだけど?!」

『そうか?』

そうだよ!?
掴まれている手を振り払う
違うって
違う!!!!!
俺が伝えたい相手は!!!!

「……っ、ZZ…っ!」

ガッとZZの両肩を掴む
瞬間、キョトンとした表情になり首を傾げる
どうした?と言わんばかりに目を瞬かせる

「ZZ……、そのよぉ……」

言うんだ
伝えるんだ
今日こそ
今日こそは
伝えたいんだ

どうか伝わって
この気持ちに気づいて

「俺……」
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