機械世界

□果てていなくなれ
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苦しいなぁと思ったのはいつからだろうか?
02が家出した頃からだろうか?
それとも03が宇宙旅行に行った頃からだろうか?
いや、それよりもずっと前
きっと02がまだ小さい頃から感じていた

苦しい

01はボーと窓から外を眺めながら思う
前までは結構落ち着いていたはずの感情が今また再熱した
再熱と言うと可笑しいが今はその言葉が合っている
涙が零れそうだが零れない
涙腺は緩んではないらしい
少しだけ、安心する自分がいる

『泣きたくはないからねぇー…』

と、言うか泣く事は放棄した
どれだけ時が流れようが泣かないと決めたのなら泣く事はしない
それがたとえ…心がどんなに苦しくても
泣いてしまえばすぐに崩れていく
抱え込んでいた黒い何かが解き放たれて凶器として言葉に混じる

いつ、弟達を傷つけるか分からない
それが酷くいやで
醜くて
距離を置いてしまう

『……あ、サッちゃん』

窓の向こうを向けば他の誰かといる弟
そしてもう一人の弟はもう少し離れたところで友達と遊んでいる
うん、やはりこうでないと
二人の楽しそうな姿を見るのは好きだ
それを見てるとこちらも…嬉しくなる

だけど苦しくなる

寂しくなる

一人取り残されたような感覚になる
それでもいいんだけど……

『あー……どうしよう』

まだ時間はある
夜は…まだこない
しかし今は一人

空しい

ズキリと痛む胸に01はため息を吐く
一見悩みなどなさそうな01だが実は抱え込みすぎて自分を苦しめている
それに気づけている人はいるのだろうか?

否、いまだに現れない

ニコニコして
ただいつのまにかそこにいる
しかし一方では01はその一歩後ろにいる
隣に並ぶことなくその後ろを歩く
振り返ればすぐそこにいるのに手を伸ばせば遠のく
おかしな存在

『……可笑しいなぁ……』

呟く
瞬間、酷く苦しくなる
息をするのさえも01を苦しめる
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