機械世界

□会って 抗って 聞こえなくて
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『……人?』

一方出血しているそのMSは低い声で言う
まるで痛みなど感じないと言うかのような素振りに劉備は戸惑う

「いや、お前大丈夫か?!何で血だらけに…?!」

そう問えばそのMSは何も答えなくなる
ただ目を細め何かを考えているみたいだ
その雰囲気が何処か劉備には恐怖など感じられない
ただ分かるのはこのMSは怪我をしている
それだけだった

『っ?!』

思い立ったら即行動
劉備はそのMSの腕を掴み上げ肩に担ぐ
いきなりの行動に驚いたのかMSは目を見開く
そして暴れだす

「ちょっ、暴れるなよ?!」

『離せ!!下ろせ!!!』

暴れているせいで傷口から漏れる血…
劉備は傷口を手で押さえ血を出さぬようにする
痛々しい…
どうしてここまで酷い傷を?

担いだまま劉備は関羽と張飛の待つ木に戻る
張飛と関羽は驚きで目を見開くが、劉備はすぐに血を止められるものはないか、と二人に問う
その口調が少し荒々しくて二人はまたもや驚くことになる
関羽は果物を包んでいた布を劉備に渡す
貰うとともに劉備は布を傷口にあてがう
その痛さにそのMSは声を荒げる
何かを求めるように伸ばされる手を劉備が片手で握り締める

「大丈夫、いるよ 一人じゃないよ」

そう言えばそのMSはカタカタと震える手で握り返す
荒い息を吐きながら痛みに耐える

『――――っ』

痛い
痛い




苦しい
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