機械世界

□果てていなくなれ
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知らずに窓を閉めていた
ベッドに体を預ける
冷たい
少しずつ冷たくなってくる風
もう秋だ
秋がすぎれば冬がくる

冬は…苦手だな

家出した弟を思い出すから
寒い中…駆け回った
それでも見つからなかった

『……』

後は
03が宇宙旅行に行ったこと
あの時も冬だった
家は一時静かだった
静かで
それが
苦しくて

どうしても会いたくて

でも迷惑かけたくなくて

我慢しないといけないと思ったから
一番上の兄として弟たちに情けない姿は見せられない
プライド?
そんなちっぽけなものではない
言葉では言い表せないもの
他人にはそっけなく言われそうな思いだが01にとっては真剣なのだ
それがもし
01を通し貶されれば…

脆く崩れて消えてしまう

何年もかけて抱え込んだこの思いが
全てを苦しめている
それだけならいい
しかし苦しみは序所に大きくなる
そして01の体を蝕む

異常?

いいや

これは正常

01にとってみればこれがいつもの正常なのだ
しかし可笑しい

これが正常なら何が異常なのか?

『…大丈夫…』

自分に言い聞かせるように呟かれる言葉
大丈夫
呟いて空に消えた言葉
01は目を細める
痛い
痛い
苦しい

『…大丈夫…?』

何が?
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