機械世界―弐―

□夕暮れ鐘鳴るならば追いかけてでも捕まえよう
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夕暮れの時間
周りが次第に暗くなり始める
枯れ葉が地面を覆い隠している
東雲色の空が薄暗くなり始めている
鴉が先ほどから鳴いている
夕暮れなのだと時間を告げるように
先の見えない道なき道を01は歩き続ける
肩に乗っている鴉は機嫌がいいのか先ほどから鳴いている
その声に耳を傾けながら歩き続ける
後ろを振り返る気などない
あるのは暗く見えない道だけ…
01は息を静かに吐く
今此処が何処なのかも知らない
分からない
だけど止まりはしない
止まったって意味などないのだから

『…あ』

立ち止まる
目の前には古びた階段が上まで続いている
そして階段の頂上には鳥居がたっている
どうやら少し昔にたっていた神社らしい
01は無言でその階段を一段一段上がる
所々が崩れていたり、雑草が生えていたり…
この神社はどうやらたってから年月が結構すぎているみたいだ
肩に乗っていた鴉が鳥居の上に舞い降りる
そこが気に入ったのか鳥居の上で鳴いている
階段を調度中間まで上る
後ろを振り返ると…

『…綺麗だ…』

夕日
東雲色に輝く夕日が山を全てを照らしている


お帰り


家に帰れば誰もいない
いつも言うがわだった
家に居たとしても…誰も返してくれやしない
感情も何も篭らない言葉で返される
寂しいな
寂しいな

階段を上り終わり、鳥居を潜り抜ける
古びた神社がポツンとたっていた
人気もない
何もかも時間が止まってしまったかのように…
01は黙って、その神社を眺めている

『……鴉が鳴くからかーえろ……』

少しだけ涙声になった気がした
目の前が歪んだ気がした

『……帰りたくないな』

ポツリと零される小さな我侭
長男だから
だから……
ズキリと痛んだ気がした
何かが悲鳴を上げている
痛い
痛い

『………』

痛い


鳴いた(泣いた)のはどっち?
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