音速世界

□伝えたいけど
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まだ少し寒い空気が漂う明け方
珍しくソニックは早起きだ
無償に会いたい人がいるのだ
しかしこの時間にはまだ起きていないと思う
だが会いたい
もの凄く会いたい
ソニックは即行動する
ベッドからはね起き玄関までかける
ドアノブをまわし外へと出る

寒い風がソニックを横切る
するとフッと公園のほうに誰かいるのが見えた
黒い服に白の袖、季節を感じさせない半ズボン
そして後ろを黒い布でキビっている針
白に近い淡い色のハリネズミ…

「クラウン?」

立ち止まって目をこらす
公園にいるのはもしかしたらクラウンというハリネズミなのかもしれない
そう思いソニックは公園に静かに入る

『…』

一方クラウンはジッと噴水を見ている
青い瞳は噴水の青に反射し、深い青色になる
揺ら揺らきらめく噴水の水を見ているクラウンはただ黙っている
両手に持っている花束
いろいろな種類の花が包んである

『…たく…なんで俺が…』

ポツリと呟かれた言葉は冷たい
半目であるクラウンはまるで噴水を睨んでいるかのようだ

『……なんで俺が…花束を届けないといけないんだ』

おかしいんだよ
クラウンは思う
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