捧げ物

□心を捨てて何を望む?
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周りに黒蘭の殺気が立ち込める
たった一人、睨まれているだけで全身を金縛りしてしまうほどの恐怖
フメツは無意識に戦闘体勢になる
ゾクゾクとする気持ちが高まる
その後ろでは桜丸がただ何もできず傍観している

「いきなり飛び蹴りか…誰だか知らないが随分と乱暴な挨拶だな?」

ニヤリと恐ろしいほどの笑みを浮かべフメツを見る黒蘭
フメツは表情を変えず黒蘭に言う
お前は桜丸の兄なのか、と

「あぁ、僕は黒蘭。桜丸を`兄'として迎えに来たんだ…」

段々と告げられる言葉にフメツは相手への怒りを隠しきれていない
キッと黒蘭を睨みつける

『兄・・・と、して…だとぉ?ケッ、よく言うぜ!!お前は桜丸の兄貴らしい事してやったのか?!桜丸がどれだけ怯えていたのか知らねぇのか?!ふざけんな…!!!お前みたいな奴に桜丸は絶対渡さねぇ!!!』

怒りをぶつけるように言うフメツに黒蘭は目を細める
周りの空気が一瞬にして冷気に変わる
一般人がいれば一瞬にして息が止まるほどだ
それほど冷たく重い

「人聞きが悪い…僕の邪魔をするなら容赦なく…」

「殺すぞ…??」

黒蘭の持つ紫色のビームサーベルが不気味に光る
普通のサーベルより二倍も長い
フメツも同じようにビームサーベルを構え、黒蘭に切っ先を向ける
一言も発せ無い空間
静寂な空間
桜丸は後ろで息を飲み込み、見つめている

バッ!!!
先に静寂を破ったのはフメツだった
地を蹴り黒蘭に切りかかる

キィンッ!!!

刃と刃の交わる音が回りに響く
力の差では圧倒的に黒蘭が強い
序所に押され始めるフメツ
黒蘭は不適に笑い、素早くフメツの腕を掴み空に投げつける
一瞬の出来事に体が思うように動かないフメツ
その隙を狙い黒蘭が今度地を蹴りフメツの目の前に行く

『―――っ』

空では避けれないフメツは振り下ろされるサーベルをサーベルで受ける
そのぶつかった衝撃が強かったのかフメツの体は地面へと直撃する
砂埃が舞う
気づけば黒蘭は足元でもうサーベルを構えて切りかかろうとしている
フメツはそれを紙一重でかわす
が、一方的な攻防戦が続く
黒蘭の激しい攻撃にフメツは受けるしかできない
しかしそれも段々と防ぎきれなくなってくる

黒蘭は笑みを零しフメツの顔面をサーベルで狙う

『!!』

体をのけぞらせそれをギリギリでかわすフメツ
そしてその一瞬で生まれた隙を見逃さずフメツはサーベルを振るう
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