捧げ物
□祭囃子響く中へ
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二人の影が病院から出てくる
その影の正体はフメツと桜丸だった
フメツは一回伸びをする
『やっと退院できたぜ!これで勝負すまくれるぜ!』
「よく言うわフメツはん、しょっちゅう病院抜け出して勝負挑んどったやん」
『そうか?』
「そうやで?」
いつものような会話をする中
フッと桜丸が立ち止まる
どうしたのだろうか?と思いフメツも一緒に立ち止まる
よく見ていると桜丸の視線はある一点を捉えて離さない
フメツは視線の先にあるものを見るとあぁと目を細める
『夏祭りか、しかも今日の夜…か』
「お祭り…えぇなぁ…」
いっこうに視線をはずさない桜丸
その姿を見てフメツは腕を組む
少し考えているとフメツが言う
『なら、今日の夜一緒にお祭り…行くか?』
瞬間、桜丸の表情が明るくなる
そこまで何故明るくなれるのかフメツには理解しがたい
何故なら祭りとは無縁だったからだ
このコロニーに来てから祭りと言うものを知ったのだ
「ほんまにえぇん?!」
『あぁ、俺も少し興味あるしな!まぁ…退院祝いって事で!!』
さらに表情を明るくする桜丸
腕をブンブン振り回し飛び跳ねる
喜びはしゃぐ桜丸を見ながらフメツは苦笑している
子供かよ…
そう思うフメツだった