捧げ物

□祭囃子響く中へ
1ページ/7ページ

二人の影が病院から出てくる
その影の正体はフメツと桜丸だった
フメツは一回伸びをする

『やっと退院できたぜ!これで勝負すまくれるぜ!』

「よく言うわフメツはん、しょっちゅう病院抜け出して勝負挑んどったやん」

『そうか?』

「そうやで?」

いつものような会話をする中
フッと桜丸が立ち止まる
どうしたのだろうか?と思いフメツも一緒に立ち止まる
よく見ていると桜丸の視線はある一点を捉えて離さない
フメツは視線の先にあるものを見るとあぁと目を細める

『夏祭りか、しかも今日の夜…か』

「お祭り…えぇなぁ…」

いっこうに視線をはずさない桜丸
その姿を見てフメツは腕を組む
少し考えているとフメツが言う

『なら、今日の夜一緒にお祭り…行くか?』

瞬間、桜丸の表情が明るくなる
そこまで何故明るくなれるのかフメツには理解しがたい
何故なら祭りとは無縁だったからだ
このコロニーに来てから祭りと言うものを知ったのだ

「ほんまにえぇん?!」

『あぁ、俺も少し興味あるしな!まぁ…退院祝いって事で!!』

さらに表情を明るくする桜丸
腕をブンブン振り回し飛び跳ねる
喜びはしゃぐ桜丸を見ながらフメツは苦笑している

子供かよ…

そう思うフメツだった
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ