捧げ物

□克服と面影
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晴れている
青空が広がる中、桜丸はモミジの散歩をしていた
少し冷たい風は吹き抜ける

「うぅ…もう寒くなってきた言うんに…モミジは元気やんなぁ…」

「ワンワンッ!!」

リードに繋がれているモミジは元気にはしゃいでいる
冷たい風などお構いなしに、走り出し桜丸を引っ張る
いきなり引っ張られ、桜丸は驚く

「ちょっ…?!!モ、モミジ?!止まってねぇな!!!!」

必死になって言うが
小生、犬は聞く耳持たぬようだ
止まる何処か加速するモミジ
そして気づく

下に地面がない

え?と思い気づいたときには遅し
見事まで派手に階段を転がる

「ぁあああぁああ?!?!!!」

ゴロゴロゴロ、と…
体のあちこちをぶつける桜丸は一番下の段
地面に背中を打ちつけ、やっとその体は止まる

「痛ったぁ…、もう何すんねんモミジ!!危ないやんか!!!」

そう言うとモミジは情けない声を出し、小さくうずくまっている
先ほどまで元気に左右に揺れていた尻尾は垂れ下がり、耳さえも下を向いている
桜丸はそれを見て言い過ぎたなぁと思い頬をかく

「あー…もうえぇわ…。悪いんはウチもやし…。ほな行こかモミジ」

少し笑い立ち上がろうと片足に力を入れる
が、急に激痛が走る

「痛っ?!な、何や??足…捻ってもうたんかなぁ…」

少し眉間にしわを寄せ、足を手でさする
もう一度足を動かそうとするがやはり激痛が走りとても動けそうにない
腫れてはいない
骨は…折れてないみたいだ

「まいったわぁ〜、何でこうもついてないねん今日は」

ため息を吐き、目を細める
座ったままでは日が暮れてしまう
誰か人が通らないだろうか?と辺りを見回す

「…やっぱ前言撤回。帰ったら覚え取れやモミジ〜」

先ほどの同情はどうしたのだろうか?
物騒な事を言う桜丸
おい、動物相手になんて事を…((


「?どうしたんだー?大丈夫?」


突然声をかけられ、桜丸は少し表情を明るくする
突然の救世主に喜ぶ桜丸は振り向く

「おん、ちょっと足を―――……っ」
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