捧げ物

□消えられたなら…いいのにね
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夜中に
一本の電話がかかってきた
かけてきたのはガンダム
内容は

―マークUがフメツに斬られた―

その一言だった
意味が分からなかった
気づいたら病院へと駆け出していた
嘘と願った

フメツはいつも相手と勝負するときは手を抜く
傷つけないように…
まるで割れ物でも扱うかのように…
しかしそのフメツがマークUを斬った
本気で?
ありえない

病院に着き治療室へと行く
角を曲がるとそこにはガンダム、マークUの兄達、ZZ、プラスがいた
そして、頭をたれているフメツの姿
いつものような元気な姿はない

「フメ……」

「フメツ…」

桜丸が声をかけようと名を呼ぼうとした瞬間、Zの声によって遮られる
フメツの前に立ち、無表情だが怒りが回りに伝わるほど静かな怒り……

ZはマークUの親友
いつも二人一緒にいて楽しそうにしている
その親友が、理由もなく目の前にいるフメツによって傷つけられた
怒るなというほうが無理だ

Zの頭の中では疑問ばかりが浮かぶ

「何故…何故だ…フメツ…?」

フメツは答えない
答えられない

「何故、マークUを斬った…?」

声にこめられた怒りがフメツの心をえぐる
痛い
そう思う権利さえ、フメツにはないのに…
Zはしゃがむ
フメツと同じ目線でまた問いかけようとする

「Z、フメツだってよぉ…理由もなく斬るわけ…」

「君は黙っててくれプラス…」

かばおうとするプラスの声を遮りフメツから目を離さない

「彼が何かしたのか…?」

無言

「何故斬ったんだ…?なぁ、フメツ…」

『………すまねぇ、Z』

ガンッッ―!!
激しい音が廊下に響く
Zがフメツを壁に打ち付けたのだ

「僕は…何故斬ったのか…理由を聞いているんだ…!!!」

怒りをあらわにして言うZにフメツは何も思えない
ただ、目を細くしてみている

『…すまねぇ…』

言葉が自身の心をえぐる
目を見開き殴ろうと振り上げようとするZをガンダムが横から止める
ガンダムの表情も何処か難しい

「やめろZ…、今フメツを責めても…意味なんてない。マークUだって…大きな怪我じゃないから…だから」

「怪我の大きい小さいの問題じゃない…!何故、斬ったのか…仲間を…!理由もなしに斬るなんて…僕は許さない…!」

ズキズキと痛みだす頭
静かに心が悲鳴を上げる

「何故…斬った…?!仲間を…裏切ったのか…?!」

痛いよ
痛いよ

裏切り者

またなのか?
ここでも言われるのか?
また居場所がなくなるのか?

自分のした事が許せない

憎い

もう嫌だ

誰か

殺して

俺を……

苦しい

苦しい

苦しいよ――……
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