コラボ小説

□悲劇と吸血鬼
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窓から光が差し込む
そんな窓辺に音もなく誰かだ降りてくる
背中に大鎌を背負い、その大鎌につけられている二つの小さな鈴がチリンッと小さく音を立てる
マントが靡き、揺らめく
翠玉色の瞳があるものを見ている
部屋の隅で寄り添うように眠っている2人の騎士
一人は友人
一人は…?

「……?」

スッと部屋に入り込み、足音もなく2人に近づく
聞こえるのは小さな鈴の音
一つのマントに包まっている2人を死神は何をいう事もなく見ている
一人は友人であるトラヂェディであるがもう一人は知らない
ただ分かるのは狩られる側のものだという事
しかし随分と気持ちよさそうに眠っている
この部屋は案外隙間風があるので寒いと思われるが…どうやら2人分の体温のおかげで調度よい暖かさになっているらしい
クスリッと笑みを零すと死神_クルーエルはクルリと背を向け窓辺へと歩き出す
起こしてやってもいいのだが気持ちよさそうに眠っている2人を起こすにはあまりにも酷である
クルーエルは窓辺へ足をかけると来た時と同じように音もなくその場所から離れる

「しかし本当にあれ誰なんだろ、初めて見る奴だったしなー…モロクか起きたトラヂェディにでも聞こうかな」

上空へと翼を羽ばたかせる
小鳥の囀りが
風の音が
色んな匂いが
暖かい日の光が
今日を迎えさせる
クルーエルは息を短く吸うと唄を紡ぎだす
唄が風にのって遠くへと運んでゆく
何処か物悲しいその唄は静かに響く

死神の歌う唄は何処か儚いものであった
本来死神の唄は幻覚を見せるときなどに歌うものでクルーエルのように自分で作った唄を歌うものはいなかった
クルーエルの歌う唄は悲しい、儚い
何かが足りていない唄は空へと空気へと吸い込まれてゆく

その歌声が聞こえた一人の騎士が空を見上げる
赤い瞳が青い空を映し出す
そして唄を歌っているものの元へと翼を広げ空に浮く
唄が発せられている人物の元へつくまでにそう時間はかからなかった



END
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