コラボ小説

□いつかいつか その事さえも過ぎてしまって……
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風に吹かれ砂埃が舞う
ピリピリとした緊張感が張り詰める
ジャリッ
砂を踏み、息を飲む
辺りに漂う死臭に眉間にしわを寄せるフメツ
そしてその後ろを黒蘭がついてきていた
黒蘭にとってはこれが始めての戦場だった
フメツはあくまで敵とは距離をとり、行動をする
その後ろを黒蘭はただついていっていた
初めてみた恐怖とグロテスクな世界に黒蘭は武器を取る事もできずただ吐き気をこらえていた
気持ちが悪い
黒蘭はそう思った

岩陰に隠れながら行っていた足を止めるフメツ
どうしたのだろうと思い黒蘭はフメツに話しかけようとするがそれを止めるフメツ
視線は2人が隠れている岩の少し先にいる敵軍の親玉に注がれていた
目を細め、視線を逸らすことなく見ている
フメツの持っているビームライフルの銃口が、親玉を狙う

「フメツ伍長…?」

黒蘭が血の気の引いた顔でフメツを見ている
フメツは
瞳だけ、黒蘭にむける

『…どうした?』

小声で呟かれる声
酷く安心した自分がいた
フメツは一瞬だけ笑う

『恐いのか?』

「なっ…!」

言い換えそうとして口を塞ぐ
今騒げば確実に気づかれる
フメツは微笑する
そして前を向く

「…僕がやらなくていいのか?」

『やりてぇの?』

そう言うとフメツは黒蘭にライフルを渡す
ズシリとかかる重み
瞬間
先ほど感じた恐怖が蘇る
持っている手がカタカタと震える
恐い
そう思う
フメツは黒蘭を見ている
撃てるのか?と言うように

『…黒蘭?』

いつまでも撃とうとしない黒蘭に
眉間にしわを寄せるフメツ
黒蘭は
恐怖で
動けなかった

『黒蘭!!』

「!」

ドガァアアンッ!!!
爆風が起こる
何が起こったのか黒蘭は分からずにただ目を見開いていた
フメツは小さく舌打ちをする
腰に収納していたダガーナイフを親玉に投げつける
頭部を貫き、地面に倒れる親玉を見、黒蘭の手を引く
後ろを振り返り
見た光景

仲間の死

唾を飲み込む
大勢の仲間が
逃げ遅れ
死んだ
多くの犠牲をだした
黒蘭は静かに這い上がってくる吐き気に
気持ち悪くなった

任務を終え
黒蘭を待ち受けていたのは、酷く怒った上官だった
そして罰
酷く恐ろしく、それは黒蘭の記憶へと焼きつかれる
ナイフが装甲を貫き、肉体に突き刺さる
鞭が背中を打ち、火傷したかのように熱くなる
激痛が全身を駆け巡った
黒蘭はただ抵抗もできず、その罰を受ける事しかできなかった

「お前の痛みなど、死んだ奴等の痛みに比べれば屁でもないだろう?もっと苦しめ!貴様の失態でどれほどの仲間が死んだのか!!悔やめ!」

上官はただ鞭を打ち続ける
言い訳と建前でしか生きられない
下等な
生き物のくせに
黒蘭は拳を強く握り締め瞳に涙が溜まる

理不尽だ

その言葉が
脳裏を横切った
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