音速世界

□伝えたいけど
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昨日の夜、兄から電話が突然かかってきた
受話器をとって返事をしてみると兄が普段考えられない低い声で言ったのだ

【明日、花束もってきて】

なんでだ?と聞き返すというのだ
先ほどより低く

【いいから…お願いだ…俺…答える自信がない】

弱弱しい声にクラウンは驚く
普段は馬鹿みたいにやかましいくせに何故ここかで弱弱しくなったのか…?
誰がそうしたのか?
そう思うとクラウンは怒りを覚える

『分かった、明日持ってくる…時間は?』

【…9時】

『何処で?』

【いつもの場所で】

『…ん、分かった。なら明日明け方に家をでて兄貴のところに花束もっていく、これでいいか?』

【すまねぇな…】

『別に…気にすんな』

そう言って受話器を置いた
兄貴は何かに悲しんでいるのだろうか?
そう思い夜中に花屋まで走り無理を言って花を売ってもらった
そして早起きをして今この公園にいる
もう少ししたらまた歩かなければいけない
きっと9時までにはつくはずだから…

『…兄貴、何か変なことに巻き込まれてなければいいけどな…』

心配するのは当たり前だ
たった一人の家族なのだから
心配しないほうがおかしい
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