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□雪解け
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※ドラム王国を出たあとの話です。


ここ数日、皆私のことを気遣ってくれている。
チョッパーからケスチアの治療には一週間は
かかると聞いているから、気持ちはわかるけど、
皆に優しくされるたびに、私は自分の不甲斐なさを
感じてしまう。

あんな恰好でジャングルを歩くなんてほんとに馬鹿。
いったい皆にどれだけ迷惑かければ気が済むのかしら。

悪い思考回路から抜け出せない。

コンコン。
「ナミ、入っていいか?」
ルフィの声・・・いつもならいきなり入ってくるのに。
「ええ。」
ガチャ。
「サンジがおかゆ作ったからもってきたぞ。」
「ありがとう。でもそんなにサービスしなくても大丈夫よ。
 ちゃんと皆と食べるわ。」
「ダメだ、病人はおとなしくしてろ。」
そういって、ルフィは私の頭をポンポンッとたたいた。

その瞬間、私の中の何かが外れた。
「(ヒック)ルフィ、ごめん」
「うわ、おいナミ、なんで泣いてんだ」
「だって、私のせいで皆に迷惑ばっかりかけて」
ズイッ。
気が付くとルフィの真剣な顔が目の前にあった。
「ナミ、そこは謝るとこじゃないぞ。」
「えっ?」
「なんでもっと俺たちを頼らないんだ。俺たちは仲間じゃねぇか。」
「・・・うん。」
ルフィのその言葉はすごく暖かくて、
とたんにさっきとは別の意味で涙があふれてきた。
それを見てルフィは立ち上がると、満足そうに笑った。
つられて私も。
「よしっ、それでいい。」
全くこいつには敵わないな。


心のわだかまりは、もうすっかり溶けていた。

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