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□第二叫・こっくりさんの呪い
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こっくりさん、こっくりさん、鳥居を通っておいでください…こっくりさん、こっくりさん…












「やれやれ、またかのぅ」



テケテケの噂が落ち着いてから約一週間後、小さなカフェ『ANGEL』に長く白い髭が特徴の老人が訪れていた。


「どうかなさったのですか?…ご注文の稲荷寿司です」


黒髪の少女は二つの稲荷寿司がのった皿を老人の前に静かに置きながら尋ねた。


「ありがとうな、黒蜜ちゃん。……最近、餓鬼どもの悪ふざけが過ぎてなぁ…」



老人はそういうと小ぶりの稲荷寿司をまるごと口の中に放りこんだ。




「また、こっくりさんでもやっている人間達がいるのですか?」


黒蜜はあきれ果てたように表情を崩し、空になっていたグラスに水を注いだ。



「…全く、一時期は安定していたというのにまた流行りだしおって…。」


ズズズズッと老人はまるでお茶を啜るように水を流し込んだ。




「…人間達は知りませんからね…。正式な契約の元で人や棲みかに憑いている霊が降りてくるのは極稀のこと。特に銀狐様のような高等な霊になれば尚更。
降りてきた低級霊にとりつかれ呪い殺されるのがおちと言うものです。」


黒蜜はそう言いながら不気味に笑った。


老人は何とも言えない表情で見つめる。




「これこれ、黒蜜ちゃん営業スマイルが崩れとるぞ。」


「あら、いけませんわ。」


老人の言葉に黒蜜は表情を元に戻した。





「そろそろ帰ろうかの。勘定ええかな、黒蜜ちゃん」


「はい、えっと…稲荷寿司二つなので…10輪になります。」



黒蜜の言葉を聞くと老人は懐から古びた硬貨らしい金属を10枚ときれいな紫色の石をテーブルの上に置いた。


「えっ…黄泉川の蛍石…?」


黒蜜は驚きの表情で老人に視線を向ける。



「わしからの注文じゃ」


老人は優しく笑った。




「珍しいですね、人間を守ろうとするなんて…。」



黒蜜の言葉に老人は自分が首に巻いている布を軽く握った。



「他の人間なら放っていたんだか今回ばかりは助けたい奴がおってな。」



そう言うと真剣な表情で黒蜜を見据えた。



「引き受けてくれるかのぅ、黒蜜ちゃん。」



その言葉を聞くと、黒蜜は妖艶に笑った。



「お客様のご注文、承知いたしました。どうぞしばらくお待ちください…。」














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