怪談カフェへようこそ

□第三叫・足売りばあさんの言葉
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「黒蜜ちゃん、コーヒー牽き終わったよ。」



紅い長髪の青年がカフェ『ANGEL』の奥から小さな袋を抱えて顔を出した。



テーブルを拭いていた黒蜜はその声にゆっくりと振り向く。



その顔色は悪くいつもの覇気に満ちた表情が見受けられない。



「ありがとう、助かったわ…。」



その弱々しい声に青年はハァと小さくため息をついた。



「今日は雨なんだ、無理せず休めよ。」



そう言いながら持ってきた袋をミルクや砂糖が置いてある戸棚にしまった。



「そういう訳にもいかないわ。今回の注文は貴方に任せることになってしまうんだし……。」



黒蜜はまた作業を再開する。



青年はしばらくその背中を見ていたが、近くにあった布巾を手にとると黒蜜と並んで拭き始めた。



「甘夏……、いいって…。」



「先輩だからって強がるなよ。」



黒蜜は一瞬驚いたように目を見開いたが、黙々と作業を続ける甘夏の姿に微笑んだ。













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