06/26の日記

20:51
隣の幼馴染み
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むかつく、むかつく!
せっかく人が夕飯作ってあげようと買い物してたって言うのに、何、あの態度!

今日は暗部の任務が早く終わるから、夕飯を一緒に食べようと、誘ったのは私。下忍の任務が終わった時に何が食べたいか聞いて、その時まではよかった。

帰ってすぐにスーパーに行って、まだ時間があるからとついでに本屋に寄って、忍術書でも買おうと思ったのが間違いだった。
棚の上の方にあるものが取りたくて、ぎりぎり届かない本にヤキモキしていた時、知らない男の人がとってくれたので、お礼を言っていただけ。なのに、あいつときたら、どこから現れたのか、急に私の手を引いたと思ったら、

「こいつはあんたの手には負えない。ま、死にたいなら俺は別に構わないがな」

わざわざ暗部の時に使う燐(りん)の姿で相手を見返して、殺気はないものの、目は笑ってなくて…

「っ!」

ひやりとした空気に、背筋が粟立ち息が詰まってしまった。睨まれてない私でもこれだから、直接向けられている彼はこんなものではない。

「ひっ…!」

辛うじて意識を保って立っている。そんな様子が見てとれて、私はこれ以上は危険と判断して、燐の腕を掴み返して店を出て行った。

「…」
「…」

少しの無言、空気が痛い。
私は悪いことなんてしてないのに、反論がでてこない。せっかく夕飯を食べると約束したのに、楽しみにしていた気分が台なしになったことに、なんだか腹が立ってきた。

「もう!なんであんなことしたの!!相手はただ親切で本を取ってくれただけだったのに!」

怒りが出た為、空気なんて読んでられない。だって、彼が何を考えているかなんて、その場で聞かない限り、ずっとわかりはしないと思ってたから…

「お前こそ、俺ん家くるのにどれだけ時間かかってんだよ」

ポンッと変化を解く音を立て、その姿が本来の彼の格好にもどる。
彼独特の金色の髪が夕日に照らされてオレンジ色に染まる。相変わらず綺麗だな、とそれを後ろで見ると、私は何時も彼の背中ばかり見ていたことを思い出す。

「夕飯の買い物してたに決まってるじゃん。ナルトの家、どうせ何もないから」

一瞬、昔を思い出して怒りが飛びそうになるも、彼が振り向いたから、はっとして答えた。

「の、割に他のとこ寄ってたけどな」

怒っている。
表情は逆光になっていてわからない。けど、その声音からして明らかに怒っているのがわかった。


「なんで、」

いっつもそうだ、彼は自分勝手に私の自由を奪う。

「どうしてそれくらいで怒るの!?
ちょっとくらい、自由にしてもいいでしょ?」

泣きたくなる。ナルトがわからない。いつも一緒にいた、大切な幼馴染み。
大人から嫌われてる理由を知った時も、力を付ける為に修業をした時も、暗部に入って、始めて任務で人を殺した時だって全部、支え合ってきた。
なのに、最近ナルトは遠いい。傍にいても、考えてることがわからない。一緒にいても目を逸らすことが多くなった。下忍の任務中にサスケ君じゃなく私に突っ掛かって来るようになった。シカマルとよく一緒にいるようになった。

「わかんないよ」

しん、と鎮まる帰り道。涙を堪える私は必死に顔を見られないように俯く。


「自由?そりゃ、自由にしてやってもいいぜ?

お前より有能な部下であり、忠実な下僕であり、同期、友、それと」

"家族"

最後の方に柔らかく発音されたそれに、私は前半にあった一部微妙な関係の事を流してしまう。

「そんな奴がいるんなら、お前を自由にしてやるよ」

そう言った時、ナルトが笑った気がした。私はと言うと、ナルトがそんな風に思っていたなんて知らなくて、顔に熱が集まっていた。なぜか、照れる私にナルトはさらに

「だから、上司で主人で最強の俺の隣に居られるのはお前だけ」

近づかれて言われたそれに、私は頷いて

「隊、ちょ…」

「今は、ナルトだろ?」

暗部に入ってから慣らされた、ナルトの呼び方。私はナルトのこんな呼びかけにいつの間にか弱くなっていた。
恥ずかしさに、隠れてしまいたい衝動になるも、私はナルトがそれを許すはずがないのをわかっているから。

「ナルト」
「ん、上出来。だから、俺の傍を離れるなよ?」

そう言って撫でられた頭に、心地良さを感じて、大きくまた頷いた私は、きっとナルトに一生自由を奪われることを望んでしまうんだろう。



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ギャグを目指して書き始めたのに、出来たのは軽い嫉妬話?
なんか考えていたのと全く違うのでネタ部屋に。
因みに、
ナルト→恋愛感情無自覚ヒロイン溺愛。
ヒロイン→幼馴染みで、尊敬する忍。恋愛感情は未発達な上、超鈍感。

な設定。ヒロインはナルトと同じく暗部をやっていて、暗部総副隊長です。ナルトが総隊長ね。
シカマルは暗号解析部に所属していてナルト達の事を知ってます。実力は特上位?なので、ナルトの良き相談相手、主にヒロインについて…


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