11/08の日記

00:56
おはようの前に
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「ん…」

浮上した意識。
カーテンの隙間から入る光りの筋が、閉じた瞼に当たり、ゆるゆると目を開ける。

ぼんやり映った人の形に焦点が合わさると、久しぶりに見たその顔に頬が緩んだ。

けれど、その人物がすやすやと寝息を発てているのを見た覚えがなく、あれ、と思う。
ぎゅっ、手を伸ばそうとして何かに掴まれていて動かせないのが分かると、下を見た。
途端顔に、いや、身体中が熱くなった。きっとそれはもう真っ赤になっているに違いない。

「あっ」

そして気付く。
思い、出した。

昨晩、長年片想いをしていた彼の居所を、彼の師―――自来也に教えられ、必死に向かったそこで再会。前から知っていた彼の秘密。それのせいで、取られていた距離を、漸く埋められた日。
告白を受け入れてくれた彼に、もう離れたくないと思った。

抱きしめてくれた彼の温もりに安心感が増してなお手に力を入れて抱き着いた。そこで雨が降り出し仕方なしに離れようとした彼の、腕を放さなかったのは、自分だ。
そんな私に気持ちは一緒だとばかりに彼はキスをしてくれて…
強まる雨も無視して口づけを交わした私たち。

それから、びしょ濡れになった状態ではと、彼が泊まっていた宿にきて、そして――…

『キサキ…』

耳元で囁かれた彼の熱い吐息が脳内でフラッシュバックして、あわあわする。
始めての行為に怖いと思ったのは確かで、それでも、彼が触れてくれる、それが恥ずかしいけれど嬉しいと思う気持ちが大きく、その日、一線を越えてしまった。
彼が愛しいと、溢れる感情を抑えられなかった。痛みと引き替えに彼を受け入れたことを後悔はしていない。むしろ、全て嬉しかったのだし。

「好き」

握られた手を握り返して、彼の肩に顔を埋める。あれだけ遠く感じていた彼が、今ここにいる。それを実感して泣きたくなった。

「俺も、好きだ」

まさか返ってくると思わなかった返事に、
びくりと肩を揺らす。

「な、ナルト、起きてたの?」

聞かれた内容がそれだけに、恥ずかしくて顔を上げられない。
込み上げてきた熱い愛しさが、一気に焦りに変わり、鼓動がドキドキと早鐘をうつ。

「ん、今目が覚めた。なかなかのタイミングだったな」
いいこと聞けた。
などとクツクツ笑う彼、ナルトに私はさらに体温が上がるのを感じる。

「うっ…忘れて下さい…」

恥ずかしさのあまり敬語になっている私の言葉に、ナルトは嫌だね、と返して、顎を指で捉えられたと思うと、ナルトと目が合わせられた。

「もう逃がさない、って言ったろ?」

昨晩の行為中に言われた、告白の数々に、それは確かにあった。
それに対し、私は
『もう、離れないで』
と応えたのだ。

「は、はい…」

恥ずかしさゆえの動揺。だけど、それはナルトが側に居てくれることを伝えてくれてるのだから、私は応えるしかないのだ。

「よろしく、お願いします」

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前回の「知りえた姿」続き的な話。かわいい女の子を考えていたら、なんでかこうなりました…?
ええ、もう二人の年齢設定なんて無視ですよ。
お互いずーっと好きで、でも嫌われたくなくて、あえて距離をとってたので、その分くっついてしまったらもう、抑えきかないよ、ってことです。

因みに自来也も同じ宿、同じ部屋でしたが、あえて昨晩は不在にした。で、この後部屋を二人で出ようとドアを開けたタイミングで鉢合わせなんかしたりで、
「ついにナルトも男になったな」とか「あんなに小さかったナルトがのう…」とか、からかってしまうんだ。


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