07/08の日記

21:35
知りえた姿
---------------


どんなに好きだって、
嫌われてしまえば付き合えないってわかってた。

俺の中にいるバケモノの事とか、実は暗部で総隊長なんだとか、

隠していることが多過ぎて、話して嫌われるくらいなら、いっそずっとこのまま同班メンバーで仲間というこの距離関係を保っていければいいと思ってた。

あの日、正体がばれるまでは…

自来也と共に修業の旅に出たとされて二年半、実はその間ずっと暗部として多くの任務をこなしていたので、かなり実力が向上していたのと、暫く里を離れていたので変化はしていなかった。だから、夜、ある抜け忍の始末に向かった時、いつも通り奴らを始末した後、近くにいる目撃者の記憶を消そうと振り返ったら、あいつだっただなんて…

面はしていたが、コートの着用はしなかった。俺の髪色は里ではいないから、あいつは、気付いた。
「ナルト君なの?」

呼ばれた名前に俺は反応してしまい、さらに

「キサキ…」

あいつの名前を呼んでしまった。
怖い、キサキの反応が、俺を拒絶するその言葉、気配、表情。
何か一つでも反応を示されたら、俺は…

「待って、ナルト!」

そんなに距離はなかったけど、キサキに捕まるくらい反応に遅れる動揺を持った俺は、あっさりとキサキの身体の勢いで、地面に仰向けに倒れた。そのせいで、俺のしていた面が外れ離れた所に飛んだ。

「行かないで」

ポタリ、俺の頬に水滴が当たったかと思えば、キサキの目には涙が溜まっていて、

「なんの連絡もなくて、心配したんだから…」

心配?誰の…俺、を?

「なんで、」

予想外の反応に、俺は驚くことしかできず、疑問の言葉しかでてこなかった。

「聞いたの」

自来也さまに、全部。

びくり、俺の身体はその言葉の意味を全て知る前に、悪い方向へと考えてしまい、硬直した。
全部、それは

「俺の、中に居るものも、この姿のことも言ってるのか…?」

張り付いたように喋りづらい喉で、なんとか声を発すると、意外にキサキの返事は早くて、

「ナルト君が人注力だってことも、その格好をしている意味も、全部、理解してる。けど…、」

あなたを追いかけてしまう位、もう、
どうしようもなくナルト君のことが好きなの。

そう言って、俺の胸に顔を落としたキサキに、俺は心臓が一瞬止まるんじゃないかという感覚に陥った。
ずっと、想っていた大切な子。
自来也にこの想いが知られた時には、散々告白しろなどと煩く言われていたが、知っていたのか、キサキのことを。ただのエロい男のからかいかと思っていたが、さすがに俺の師か…珍しく素直に自来也に感謝の念を抱く俺は、きっとキサキが俺を好きだと言ってくれたからだろう。

「キサキ、」

びくり、俺に被さり黙ったままの身体が、俺の呼びかけに反応を示す。それを見るだけで、キサキは俺と同じく怖がっているんだとわかる。俺もさっきまでこうだったから。

「好きだ」

キサキが何か反応する前に、俺は告白と同時にキサキを抱きしめた。


---------------

ちょっと大人めな、といっても現在の原作位の年齢での話しを書きたくて思い付いた話。

微裏を目指そうと思ったけども、これが冒頭かと思ったら長くて続きを考えるのに挫折してしまいました…
うん、いずれ続きます。

夢主の名前のコンセプトはお姫様みたいな子、と言うことで妃から。


前へ|次へ

コメントを書く
日記を書き直す
この日記を削除

[戻る]



©フォレストページ