小説
□『蒼い鳥』 ★◆
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廊下を歩いている足をふと止めて空を見る。
そこには綺麗な満月が太公望を照らしていた。
綺麗な月だのう
一度見てしまうと目がそらせない。
こんなに存在感のある月に、自分は今気付いた。
余程余裕がないのだろう。
月を見ながら太公望はフラフラと城から姿を消した。
「楊ぜんさんっ!!」
「四不象?どうしたんだい?こんな夜更けに」
書簡を整理していた
楊ぜんの自室に突然
四不象が訪ねて来た。
「師叔がいなくなった!?」
「ハイっス。もう夜も遅いのにいつまで経っても戻ってこないっス」
「そうか…」
「いつもこの時間はもう寝ているっスけど…」
「安心して。僕が探すよ」
…もしかして僕があんなこといったせい!?
楊ぜんは引き攣った笑みを浮かべ、昼間のことを思い出す。
その瞳はあからさまに泳いでいた。
師叔困ってたな〜〜。き、気まずいかも…。
ま、いいや。とにかく探そう。会ったら会ったときだ。
マイペースに物事を考えながら、楊ぜんは太公望を探し始めた。