小説
□【Happy Merry Christmas 】
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「師叔っっvv」
二人で住むには少々大きな家。
周りには一切の建物が無く、一面の緑で覆われていた。
白い壁に、深い緑の屋根。庭には四季の花や木が植えられていて。今は季節がら赤と緑のポインセチアの鉢が
いくつも並べられてある。
何とも落ち着いたたたずまい…
「今日は何の日かご存知ですか!?」
…にそぐわぬ、つきぬけて明るい声。
「クリスマス…だろ」
こちらの声も家の雰囲気にはそぐらない。
ただ先ほどのとは逆で実に暗く、素っ気ないモノなのだが。
「そうですっ!!覚えててくれたんですね!嬉しいデス。師叔っ!」
…お主が忘れさせなかったのではないか。と言いたいのを我慢して太公望は冷たい目で見射る。
今月に入ってからというもの、楊ぜんは毎日それはもう耳にたこが出来る位、言い続けてきたのだ。
「師叔。今月の24日。僕たちが結婚して、はじめてのクリスマスですよ♪」
と。毎日毎日聞かされつづければ、誰だって嫌になるものである。
それに太公望自身、クリスマスにまったく興味がなかった。