小説

□Missing
2ページ/7ページ



人ごみに溢れた通りで、無意識に、そして足早に追いかけていた。





何故か必死で。



人ごみに紛れて見えなくなっても



僕は、その後ろ姿を
探さずにはいられなかった。







『終わりにしましょう』





あの頃、別れを決意し、



関係を切ったのは







紛れも無い僕なのに。








ふと我に返って


足を止めた先に花屋があったので、何の気もなしに入って、
適当な花を集めて花束を1つ作って貰った。





それを抱えてまた人ごみに。



どこに向かって歩いているかなんて

自分でも分からない。







ただただ、あの頃を




あの幸せを思い出していた。











僕が、今みたいに



花束を買って貴方に会いに行ったことが
あった。



そのとき貴方は、不審そうな顔を隠そうともせずに僕を睨んだ。








次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ