□『火神君の事が好きだった赤司君が逆行した話(目覚め)』
2ページ/4ページ


つきりと前頭部に痛みが走り、額とこめかみに手をやる。
頭痛なんて珍しい。
二十歳になって飲酒解禁してすぐの、まだ加減のわからない頃に、サークルの先輩にすすめられるままにひたすら飲んだ翌朝以来ではないか。
それからは自分の限界も知ったし、強くもなった。
一晩中飲み明かしでもしなければ、深酔いしない程度には。

それ程飲んだ覚えもないし、体調を崩してもいなかったはずだ。
無理を重ねて仕事を優先させても、身体を壊せばどのみち仕事は滞ってしまう。
効率の悪さを嫌う赤司は、自己体調管理には気を配っていた。
多少風邪気味に感じるくらいならあったが、こじらせる事はなく、もちろん大病を患うこともなくこれまできている。
記憶を失うほど意識が朦朧とした状態だったとは思えないのだ。

「──とにかく、スケジュールの確認を…」

考えても分からない事にいつまでもとらわれているわけにはいかない。
それなりに忙しい身だ。
昨夜どんな状態だったのかはともかくとして、見知らぬホテルや街角で目を覚ましたわけではないのだから、取り合えずは保留でいい。


.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ