幻想水滸伝

□見つめる先に
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放たれた炎は、近隣のすべてを呑み込んだ。

その火の粉が舞う中で、彼は笑い、低く呟く。

「燃えろ」

炎はいい。
あらゆるものが平等に燃えていく。
穢れたものが清められ、やがて新たな命がこの地に芽生えるだろう。

すべての地を、そうして清めてまわりたい。

この地に惜しむ命などない──ブタとムシケラしかいないのだから。


俺が狂っていると人は言う。

だが、狂っているのはこの国だ。
この国と、この国に這いずる穢れた命だ。
それとも世界が──世界が狂っていると言うのなら、世界ごと消えるがいい。

この命も共に。
それでいい。


炎に照らされた顔に、彼には似つかわしくない自嘲めいた笑みが浮かぶ。

視界の端に違和感を覚えたのは、その時だった。


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