short

□もしも私があの人だったら
1ページ/1ページ

(※色々な作品ネタ)


誰だってあの人になりたい、なってみたいってあると思う。俳優さんや、モデルさん、はたまた二次元のキャラクター。あの人みたいだったら、って思うことがあると思う。私は今そのことを話しているのだけど苦笑いばかり返ってきている。

「だから、何度も言うけど私は全て跳ね返せちゃう力がほしいの!第一位になってみたいの!」
「いや、意味がわからないよごんべえ」
「わかってよ…!あれほどあったらいいな能力ないよ」

そう、とある小説のキャラに私はなりたいってわけ。あんな最強になって空気を圧縮してみたい…というか走るの楽そう。便利じゃないか。わかってないな、と半兵衛が話し出す。

「君、馬鹿かい?じゃあ僕があの主人公だったらどうするんだい。負けるよ」
「うっ…でも不幸にはなりたくないしなあ…やっぱ第一位でしょ」
「無効化のほうが強いさ。君のその幻想をぶち殺そうか」
「黒くて爽やかな説教さんだね」

ならば他に勝てる人勝てる人…。うぅん、と唸りながら考える。強くてそれから便利で…。

「あ、ピカチュウになりたい」
「なんでわざわざポケモン選んだんだい」
「自家発電できるし負け知らずだよ!」
「アニメではね。原作じゃ弱いじゃないか。原点で頂点の人だって地震には負けるさ」
「ばっか、レッド馬鹿にすんなよ!」
「だってあの人弱いもん」
「お前が6V厳選厨だからでしょうが!ていうかあれチート混じって、」
「何の話だい?」

にっこりと黒い微笑みを投げかける。言うなと。それ以上言うんじゃない、と。くそう、いつの日か倒してみせる半兵衛を。
下らない川柳を頭の中で思い浮かべまた何も言い返せないような強い人を考える。しかし私の乏しい知識じゃ勝てる気がしない。相手はガチだ。私もよく知るもので対抗しないと。

「じゃあ私秀吉になりたい」
「…は?」
「最強じゃないの、秀吉。あの強さに憧れるね」
「わかってるじゃないかごんべえ。そう、秀吉はあの大きさといい強さといい全てが規格外でそれでいて寛大で」

しまった。どや顔をするつもりが秀吉はだめだった。半兵衛の長々しい秀吉の賛美の言葉をじっと聞くこと5分。今日は手短に済ませてくれるようだ。

「という訳で君が秀吉になりたいなどと言うのは1世紀ほど早いと言うことだよ。寝言は寝てからいいたまえ」
「あ、うん…すみませんでした」
「いいだろう」

ふん、と鼻を鳴らしてどや顔をする半兵衛。ダメだ、半兵衛より強いといったら秀吉しか思い浮かばない。しかし秀吉の名をあげればこれだ。長々と褒めたたえるうえに途中で逃げることは許されない。いつもは小1時間くらい聞かされるものだ。他に強い人なんかいるだろうか。言い返せなくなるくらい、強い人。すると半兵衛が何か思いついたのか口を開く。

「じゃあ僕、自販機持ち上げてみたいな」
「どこの自動喧嘩人形だよ。半兵衛はどちらかといえば情報屋の方が向いてるよ。ピッタリ」
「うざくてぼっちだとでも言いたいのかい」
「頭のこと言ったんだけどね」

自動喧嘩人形を先に出されたら寿司屋の呼び込みしてる人しか思い浮かばないけど、どちらかといえば私は俳優の方になりたい。じゃあ私その弟になる。と言えば半兵衛は…勝てないじゃないか、と言ってようやく私は半兵衛に勝てたのだった。





()





平和島兄弟と折原兄妹が好き

(2012.04.03)


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ