Fake Moon

□1.
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やっと…
やっとここまで来た…

「…」

私はゆっくりと顔を上げた。

広がるのは、星一つない夜空と、星の代わりに散りばめられたネオン。

「…池袋。」

その地の名をそっと呟く。

「…もうすぐだよ…兄さん」

ポケットの中、冷たいそれを握りしめた。

「必ず…あいつを殺してみせるから…」

虚空を睨み付け、憎きその名を口にした。

「折原……臨也…!!」

きつく握った手のひらを、冷たいナイフが赤く染めた。


「あっれー?」

呑気な声に振り替えれば私と同い年くらいの少年が二人。

「ちょ、やめなよ正臣!!」

あたふたと相方をたしなめる童顔黒髪の少年。

「いーや!あんなかわいこちゃんを放っておくなんて俺の名が廃る!!」

調子よく力説する茶髪にピアスの少年。

「…誰?」

警戒を込め睨み付ける。

「ほら明らか警戒されてるじゃんっ!いやぁ、すみません何でもないんです!!ほら正臣行くよ!!」

愛想笑いを浮かべながら必死に茶髪の腕を引く黒髪。

「いーや、警戒なんてこれから解けばいい話だろう?という事で初めましてお嬢さん!!俺は紀田正臣!好きなものは女の子!趣味はナンパなフツーの男子高校
生でーす☆ちなみにこっちのもやしは竜ヶ峰帝人。」

黒髪ー竜ヶ峰帝人を振り切り派手なポーズを決め自己紹介する茶髪ー紀田正臣。

「…」

こいつらは敵だろうか?まぁどうでもいい。

「うわぁ第一印象から最悪を作り出す自己紹介だね。流石正臣。あともやしとかウザイ。」

「ちょ、そこはもうちょい愛のあるツッコミをしてくれよ帝人!!」

私はあいつの居場所を探さなければならない。

「√3点。」

「脈絡もなくなんなんだよっ!!ツッコミか!?それがお前の愛のあるツッコミなのか!?」

こいつらが敵だろうが無害だろうが関係ない。

「うるさいよまさおっっ!!!」

ー私に味方などいないのだから。

一気に地を蹴り、帝人の背後に立ち喉元にナイフを突き付ける。
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