Pandora Hearts
□天ノ弱
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激しい抵抗によりギルと共にベッドに倒れこんだ。
「まだ。まだやです、ますたー。」
いやいやと首を振るギル。完璧に幼少期の夢の中だ。
「いい加減にしてよ。僕はオズ君じゃな「ヴィンスが…」」
引き剥がそうとしていた腕がピタリと動きを止めた。
「…え?」
聞き間違えだと思い聞き返す。
「ヴィンセントが…ぼく…ぼく…っ」
震える声で紡がれたのは確かに僕の名で。
長い前髪で隠れた瞳が、微かに煌めいた。
「ぎ…る…泣いてるの…?」
歯を食い縛り、必死に嗚咽を押さえるギル。
「心配なんです…ヴィンスはいつも…いつもぼくの事ばかりで…っでも…ぼくは…心配しながらもやっぱりどこかヴィンスが苦手で…っ」
神に懺悔をするかのような。でも許しは全く求めていない声。
じゃあどうして?
「でも…でも…っ大事なんですっ!!!!」
「!!」
声も出せずただ目を見開いた。
「苦手でも、大事なんですっ!!幸せになって欲しいんですっ!!自分のために生きて欲しいんですっ!!」
矢継ぎ早に叫ばれる言葉が僕のためのものだと、どうしても理解出来なくて。
「だ…から…」
再び睡魔が襲ってきたのか、ギルの腕の力が緩んでい
く。
「『いいから』なんて…いうな…たまには…ほん…ね…ぶつ……け…」
すぅ…
後は穏やかな寝息のみが残った。
「…なんだよ…それ…」
ギルの寝顔に呟く。
「…はは…ほんと…変わらないね…兄さん…」
力なく笑う。
今なら見えてないから。取り繕う必要もない。
「じゃあ一つだけ。本音言ってもいいかな?」
もう聞こえてないのは分かってるけど、あえて口に出そう。
「……残酷だね。兄さん…」
優しくて、優しくて
どうしようもないほどに。
だからこそ。
その優しさは残酷だ。
全ては
僕の思いとギルの思いの大きな食い違いのせい。
『愛してる』
この本音は死んでも口に出せないけど。
【天ノ弱】
限りのある消耗品なんて
ー僕はいらないんだ。
☆あとがき
はじめまして、作者です!
すんごい勢いで書いちゃいました。
はじめて同人ものを書いたのですがどうだったでしょうか?
あ、ちょ、石は投げないでぇぇぇぇぇぇぇぇry
えーと、この話は今月出たパンドラの小説2のヴィンセントとギルのストーリーのラストのヴィンスのイラストに添えられた「あまのじゃく」の一言を読んで唐突にあのボカロ曲が浮かび書
きましたw
と言ってもほとんど曲にリンクしてませんがww
この二人ほんと好きです♪
ろくに絡めてませんがorz
とにかくキャラ崩壊凄まじすぎて泣きたい(T-T)
と、とにかく、駄作にお付き合い頂き本当にありがとうございましたっっ!!
2012年3月29日
綺咲。