Pandora Hearts

□家出少年と迷子少女
2ページ/2ページ

ーあぁ

なぜ

なぜ

思い出してしまったんだい?


『あぁぁぁあアア゛ぁああ゛あアぁああ゛あっっっっあぁッアあああ゛っッあぁああっっッ!!!!!!!!』

響いたのは
絶叫
溢れたのは

満ちたのは



横たわるのは
赤に染まるのは
もう動かない
もう喋らない
もう
もう
一緒にいれない

エリオットが
ー死んだ


「!!!!!!!!!!!!」


目が覚めると、両手が動かなかった。

「起きたか。ったく。逃走なんて舐めたまねしやがって。」

いかつそうな男が見下しながら顔をしかめる。

あぁ、そうか僕
証人として捕まっていたんだ

真実がわかって
でも
ねぇ、
エリオット


向き合いたくなんてないよ

[これは...業]

いつだったか、あの影が言った言葉。
そう、
これは僕の業。
僕が背負う業のせいで
エリオットは死んだ。

そんな罪を抱えてなお生き続けるなんて、

そんな強さは

...僕にはないよ

[お前は逃げてはいけない]

[その罪から]

[その過去から]

[その記憶から]

[お前は]

[お前は]

[おまえは]

[オマエハ]

「っっっ!!!!うるさいっ!!!う
るさいっっ!!!」

頭に響き続ける
口々に責め立てる声たち。
必死に振り払うように僕はあばれる。

「なんだ?」

「またか。」

「こいつ頭おかしいんじゃないか?」

パンドラの役人が気味悪そうにこちらを見ているが、そんなことに構っていられなかった。

「エリオットは死んだ!お前らにもう用はない!!!あっちへ行け!あっちへ行けっっ!!!」

暴れまくったせいで、前髪で隠れていた視界が開けた。

金の粒
黄金の世界
僕だけに見える
異質の世界

「っっ」

両手で目を覆う。
エリオットがいる事で
この世界も愛せた。
異質にまみれた世界でも
その真ん中には君がいたから。

でも

もういない
どこにもいない
僕の世界に
残ったのは大嫌いな黄金のみ。

ーそれなら

「ぐぁっ!!!!」

「な、なんだお前あがっ!!!」

ビシャッ

黄金の世界の中
突如飛び散った赤

「やぁ、こうして直接話すのは初めてだね。」

降ってきた爽やかな声にゆっくりと顔を上げる。

「...」

黒いフードを目深にかぶった男。
その横には、先ほどまで僕を見下していた役人たちが倒れていた。

...首から上と首から下に分断された状態で


「届けにきたよ。エリオットからの最期の言葉を」

優しげな声とともに、フードの下から表れたのは見知った顔だった。

「...ヴィンセント様...」

エリオットの義理の兄。
差し出された手。
優しげな笑みの下に、どす黒い心を隠している事も分かっていた。


でも僕はもう良かった。
もう何でも良かった。

...だって


何の皮肉か
それはちょうど
僕とエリオットが契約を結んだ時のように

僕はゆっくりと
彼の手を取った。

行コウ
エリオットノ所ヘ。

ー君のいない世界の方が間違いだから

【家出少年と迷子少女】

君もきっと見つかるし
ハッピーエンドだよね?


あとがき☆

はい、『worldendumbrella』を書き終えてから、やはり続きを書きたくなってしまい書いた一品です。
まずはまぁあれですね。
くっっっっらっ!!!
まぁさ、しょうがないけどさっ
元ネタ的にも曲的にもバッドエンドが丸わかりだったけどさっ
書きながらうわぁぁ(泣)って思ってた私はアホです。はい。←
とにかく本編でも、エリオットの死のシーンは号泣しました。
リーオの言葉にならない悲痛な叫び声がまたボロボロと涙を誘われまし
た。
フツーの友情ものどころかリーオしか登場してないという意味不明なものになってしまいました。
いつかイチャイチャも書きたいですw

ここまで読んでくださりありがとうございました!!!

2012.5.4
綺咲。
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ