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□動揺
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もう10分ほど歩いただろうか。雅は小さなビルの前で立ち止まった。
「ここだよ。」
雅が指さした先には一件のバー。看板には「AnimatO」と書かれている。
「ここって、前に話してたダイニングバー?」
「そう。ここ階段下りるから気を付けて。」
雅は俺を掴んでいた右手を離し、前を歩く。
その後に続いて階段を下りると木製のドア。ドアから中に入ると店内は細長い形をしていて、
正面に鉄板付きの大きなカウンターがあり、右にはテーブル席が、そしてその奥にはグランドピアノと
スタンドマイクが設置してあるミニステージがあった。
「あれっ、雅ちゃんどうしたの?」
「店長!少しマイクを貸していただきたいんです!」
店長と呼ばれたその男はグラスを拭く手を止めて、カウンターからこちらに来た。
「いいけど、そちらの男の子は?」
「学科の友達です。彼に歌を聴いてもらおうと思って。」
「そうか、理由はよく分からないが、準備するから少し待ってて。」
「はい!ありがとうございます!」

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