main

□認識
1ページ/3ページ


季節は梅雨に変わり、最近天気は雨ばかり。今も俺は教室の窓から降りゆく雨を眺めている。

「あー、もうこれじゃテニスができねぇ!」イライラがたまって秀が愚痴をこぼし始めた。
「最近うちのサークル、ボーリングばっかりやっててさ。ボーリング部かっつーの。」

「外部活はこの時期もろに影響を受けるよな。でもそれじゃあ金もかかるんじゃないか?」
「そうなんだよ。早く雨止まないかな。」
「その点、啓太は中だから問題無いな。」
「…ああ。たまには休みがほしいけどな。」

すると今まで勉強していた智鈴がペンを置いた。
「ねえ、皆不満がたまってるみたいだし、パーっとお酒でも飲もうよ。」
すぐに秀が食いついた。
「いいねそれ!あ、でも俺金欠だ…。」
「じゃあ宅飲みにしましょ。私1人暮らしだし、皆おいでよ。それなら安く済むでしょ?」
「おお、助かる!」
「じゃあいつにする?」
相談の結果、俺と雅のバイト組の都合に合わせて、宅飲みは来週の土曜日に決まった。
「なあ、雅って酒飲むとどうなるんだ?」
「…ずっと笑ってそうだな。」
「えー、そう?案外語り出すんじゃない?」
「すぐ寝るに1票。」
「うーん私もよくわからないや。いつも喉のためにお酒はあんまり飲まないから。」
「えっ、それって大丈夫なの?」
「うん、ちょっとなら大丈夫だよ!」
「そうか!なんか来週まで待ちきれないなー!」
「ほんと元気だな、お前は。」
皆に笑いがあふれる。
だけどこういう心境が時間の感覚に作用するというのは本当で、それからの1週間はとても長く感じられた。

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ