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□始まり
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4号館は比較的小さな教室が集まっている。そのため、よくゼミに使用されていることは知っていた。
無事通った秋本ゼミもその例に漏れず、というわけだ。そんなことを考えているうちに、4号館に到着した。階段を上がり、
2階の右端にある4201教室を目指す。教室の場所はすぐわかった。もう結構人が集まっているようだ。

教室に入ると、どうやら来たのは俺が最後だったらしい。俺を見るや否や、先生が話し始めた。
「おっ、全員揃ったな。じゃあ早速だが、2班に分かれてもらうぞ。」
ええー、と一斉に声が上がる。そりゃそうだ、班分けをするなんて聞いてない。
しかし先生はおかまいなしといった様子でU字型に並んだ机の真ん中の生徒を指さした。
「じゃあ君から右の5人が1班で、左の5人が2班ね。これからはこの班で調べものや発表をしてもらうから、そのつもりで。」
いやいや、何をさらっと言ってるんだこの人。ゼミって少人数で討論したりするんじゃないのか。
個人で準備しておけばいいだけと思っていた俺は、まさかの団体行動とそれに裂く時間を考えて気が沈んだ。

「じゃあ今日は解散!」
あっけなく終わった顔合わせに、ばらばらと出ていく生徒たち。俺はスマホで撮った時間割を見て、3限の場所を確認する。

とんとん。
すると、突然後ろから肩を叩かれた。

「何?」
「今から2班で昼飯食べようと思って!もちろん君も来るだろ?」
あー、そういう感じか。まぁこうなった以上、班のメンツを知っておくのは悪くない。
「行く行く。どこで食べんの?」
「食堂だ!皆もう先に行ってるよ。俺たちも早く行こうぜ!」
そう言うと彼は俺の左腕を引っ張って走りだした。俺は慌てて後に続いた。



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