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□来客
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カランコロン
午後6時。秀たちは少し早くやってきた。
「いらっしゃいませ。」
「えっ、真悟君!?」
何も知らされていない雅は目をしばたかせている。
「驚いた?実は真悟の店で雅の誕生日会やろうと思ってさ、内緒にしてたんだ!」
秀がにっと笑う。
「そういうこと。では4名様、こちらへどうぞ。」
4人を席に案内して雅の椅子をさりげなく引く。
「あ、ありがとう。」
「メニューです。お決まりになりましたらお呼びください。」
そうして俺は他の接客に回った。
それにしても、秀も気が利くな。実際ここでなければ俺は参加できなかった。
そんなことを考えていると、キッチンの先輩スタッフが俺を呼んだ。
「何ですか先輩?」
「真悟、今日誕生日の子ってあの子?お前にも可愛い友達いるじゃん。」
「そうですけど・・・先輩何ニヤニヤしてんすか。」
「いや、お前あの子だけ椅子引いてたろ。」
「それがどうかしました?」
「なんだ無自覚かよ。ま、いいや、それよりケーキの準備できてるぞ。」
そこには5号のショートケーキ。プレートに「雅20才おめでとう」としっかりと書かれている。
「確かに。ありがとうございます。」
「いいよ。あっほら呼んでるぞ、行ってこい!」
先輩に促されて俺は注文を取りに戻った。

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