テニス
□過去拍手
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ハニーブラウンの手触りの良さそうな髪。日本人とは異なる印象を思わせる蒼い瞳が、彼の特徴。
校内でもよく目についてしまうのは、おそらくその、他とは異なる容姿の雰囲気からだと忍足は信じていた。
そんな考えから2ヶ月の月日がたつ。
……………
だだっ広い校庭、静寂な図書室、休み時間になると常に賑わう渡り廊下…。
すべてが色褪せて見えるなか、たったひと光、黄金を思わせるような髪色が今、目の前にある。
「忍足…今日は一体何の用だ、アーン?」
そう、跡部景吾。成績優秀、スポーツ万能おまけに生徒会長をつとめている、正に手の届かないという言葉に似つかわしい存在。
別にそれだけなら忍足も対して興味を持たない。
彼の美しさはもっと違うところにあるのだ。
「そんなの、跡部に用があるからに決まってるやろ?俺が自分からヒトの教室に行くなんて、めったにあらへんで。」
だからこそ聞いてるんだ、と跡部はため息をつく。
「…で、用件は?ないなら俺はさっさと席につくぞ。」
一歩、跡部の足が動きそうになった瞬間、忍足は跡部の腕を掴む。
「まあ、そう急がんといて。ええやろ、どうせお前も暇やったんやろうしなあ?」
すっと腕に込める力を抜く。代わりに跡部の動揺と憤慨に満ちた顔が見えた。
「アアーン?…まあいいっ、早く言え!」
不意に真剣な顔になる忍足。その眼差しに跡部は不覚にもドキリと心臓の鼓動を一つ。
「…跡部はもし…俺がお前に気がある言うたら…どうする?」
ああん、お前俺が好きなのかよ。キモいコト言ってんじゃねー!早く教室に戻りやがれこの変態メガネ!そんな答えを予想していても、とりあえずは自分の気持ちを伝えたかった…跡部に。
目の前の跡部は今、顔を下に向けていてよく分からないのだが、自分のこの鼓動の大きさといい、顔が赤いであろうことが自分でもよく理解できた。
「…なるほど。お前だったわけね。」
忍足は、微かにそんな声が聞こえたかと思うと、跡部に制服の裾あたりをきゅっと掴まれた。
「なん…?」
「いいぜ、忍足…。付き合ってみるか…。」
そう言って顔を背けた跡部を忍足は自分の腕で包み込む。
「忍足…」
「覚悟しとき、跡部。この上なくお前に俺を惚れさせてみせるで。」
その決意は固い。
跡部を好きになったあの日からー…。
「…フンッ、せいぜい俺様に尽くすんだな!忍足。」
この日から、忍足と跡部の関係が変わった。
それはそれは淡い恋物語…。
忍足が…
跡部が…
お互いのコトを無性に気にかけてしまう、あの、付き合う頃までの…。
end.
〔後書き〕
なつかしい、拍手文。
一番最初に書いたネタでした。
ちなみに、この次の拍手文は日岳です(^-^)v
日岳好きさん、
come on!
2012.4.1.改.
ナリ
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