短編

□少し昔のお話
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突然現れたのは中年の執事服を召した男であった。



男は川蝉とあとりの前に立つと深くお辞儀する。




「申し訳ございませんでした。お迎えをせずに」

「い、いや…」





気にしなくてもいい。そういう川蝉。

それにあとりが執事の男に言う




「あの、他に人はいないんですか?」




その言葉に執事は固まる。

だがそれは一瞬の事であり、すぐに「はい」と返事をする。






「ご主人様は大変忙しいお方なので。奥方様もいません。お母様にお父様も、家族はおりません」




その言葉でこの屋敷の男が独身である事、もしくはバツ1である事が推測される。




そこから執事と会話をした。

人形屋敷で、何か起きたのか…。


その話しをしだした時執事の男は眉をしかめた。






「……いえ、何も」

「いや、依頼者から聞いた。男が人形になった、てね?」





その言葉に執事は汗を一滴流し、川蝉を見る。

そして言う。






「……あれは…ご主人様がなさった事…」





くぐもった声で、緊張が伝わるような、そんな言葉。

主人がやったこと?


この屋敷の主人が?








「…それは…」

「先生!!」








あとりが叫ぶ。

川蝉はあとりの方を見る。




「…!?」





人形が動きはじめる。

その人形を見た後に執事を見ると…


その執事は、倒れていた。

執事の傍には白い玉が転がっている。






「…此れ、一体」

「先生ッ!に、逃げましょう!危険です!!」






白い玉を拾いあげた時、あとりに腕をひかれ、屋敷から出た。








 
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