短編

□替え歌
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原曲:The Beast.
作詞作曲:スペクタルP


人が紡ぎあげたカケラたちを 窓の外から眺めつづけた
友を作る事も出来なかった それは幼い僕のプライド



(美女と魔界の王子は
魔法を掛けられ人から
醜い化物の姿になりました。

僕は自らに魔法をかけ
歪の存在から美しい人になりました)



『隠し事をしてました 傷つくのなれてました』
やっと築いた僕だけのお城は余りに空虚で満ちてました
ある日現れたアンタは 僕に無い感情を持ってた

僕が作り上げた敷地を
容易く乗りこみ
触って気付いた

「悲しいくらい冷たいね ずっと寂しかったんだね」
呆れて 離れて 放って 測って
焦って 乱れて 貶して 追い出した

人が紡ぎあげた欠片たちが 折り重なるのを羨んでいた
孤独に作りあげた僕の城
ココロ閉ざした僕のプライド



(秀麗な面立ちと歪な身体で生まれた僕は
一人でなんでも出来る気になっていたのです。)



『隠し事をしてました 失うのを恐れました』
やっと現れたお城の住人
始めての感情(あい)に戸惑いました

『同情なんかはよしてよ アンタにわかるはずなんかない』
叩いて 痛めて 零して 暴れて
それでもアンタはひろって掴んでた

行き交う群衆の感情(あい)を見つめ一番大切を捨て続けた
孤独に慣れ親しんだこの身が
陽だまりに触れる事を許さない



(だから猶の事、他人を必要だと思う
自分が許せなかったのです

強がりは半世紀に渡り
…それはあまりに……)




『隠し事をしてました それが愛と知りました』
そっと消えていった城の住人
無かった感情が込み上げました

『隠し事をしてました ずっと一緒を望みました』
無かったはずの感情…
始めて人に見せました


「扉壊して
縋って 握って 笑って 紡いで


(それはあまりに 幸福な時間でした)






与えられた温もりと感情(あい)を
僕の孤独の身体(しろ)が許さない
自分で塞いだ(かせ)をはめたこの身体
永遠に僕の終わりを許さない

行き交う群衆に愛を蒔いて
永遠に涙を塞ぎ続けて
またアナタに会えるその日まで
未来永劫 生き続けます。


 
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