ケロロ2

□愛しい人
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日向家の屋根の上。
ここは睦実にとって絶好の昼寝場所だ。


日当たりも良いし、車の音もあまりしない、閑静な住宅街。


そして…


「ゲロッ!?どうしたでありますかクルル曹長ー!?」」


「…?」


面白いトラブルが起きやすい場所。


しかし、今回はいつもと少し様子が違っていた―…。








〜愛しい人〜








「へぇ、あんたこっちの方が良いんじゃない?」

「そんなのん気なこと言ってる場合じゃないでありますよ夏美殿ー!」



また面白い事かと睦実が庭に降り立つと、
リビングの方から賑やかな声が漏れていた。



「やぁ、また何かあったの?」

「は、睦実殿、これは良いところに…!
ちょっと黄色を見てほしいであります!」


「クルルを?」



ガラリとガラス戸を開けると、何やら目をウルウルさせたケロロが飛びついてきた。


言われるままに自分のパートナー、クルルに目をやれば、
睦実の表情が変わる。



「んな騒ぐことでもねェっつってんだろ。つか、睦実から離れろ隊長。」



睦実の身体にしがみつくケロロに顔を歪ませるクルル。


その態度はいつも通りなのだが、
問題はその目元にあった。


いつもクルルが着用している瓶底眼鏡が、
どこにも見当たらないのだ。



「あの野郎、大事なトレードマークの眼鏡を取っちゃったのであります!
ただでさえ地球人化して誰だか解んなくなってるってのに…
あれじゃあキャラ崩壊だよ!忘れ去られるよ!!あぁ、我輩、隊長として一体どうすれば…って、睦実殿…?」



ケロロは自分の嘆きに全く反応しない睦実を見上げる。


睦実の視線は、まっすぐにクルルへと向けられていた。


その視線に、クルルも首を傾げる。



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