ケロロ2

□消毒
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庭へ出てみると、サブローとのキスを嘆く先輩と、それを羨む日向夏美の姿。



「…バカめ。」



叶うことのない、叶わせはしないことを想像して浮かれている日向夏美へ。


俺すら手を出していないアイツにキスをしておきながら嘆く先輩へ。


そして、先輩と同じくらいショックを受けているであろう、
愛しいアイツへ―…。








〜消毒〜








サブローの部屋へ行くと、中は電気を点けていない為、差し込む夕日の光でオレンジ色に染まっていた。


ただ、髪の毛1本すら出ていないが、ベッドの布団が盛り上がっている。
間違いなくアイツだろう。


盛り上がっている形から想像するに、
サブローは壁の方を向いて縮こまっているようだ。


中学3年にもなって、なんて落ち込み方してやがる。



俺はドカリとサブローのベッドへ腰掛けると、
サブローの名を呼んだ。



「おい、サブロー、」


「……!」


「顔出せっつの。」


「…、」



俺が名前を呼ぶと、ビクリと反応をするだけだったが、
顔を出すように言えば、モゾモゾと寝返りをしてヒョッコリと目から上の部分を出す。



それじゃあ顔を出したってことにはならねェ、
そう言ってやりたいが、コイツも大分凹んでいるようだし、おおめに見てやることにした。



「ククッ、なァに凹んでんだよ?」


「…ぁっ…!」


「あ…?」



目が潤んでいるし、頭でも撫でてやろうかと思って手を伸ばしたんだが、サブローがビクリと怯えやがった。



俺が怒ってると思ってんのか…?
俺はあんな事故のキスなんかで怒ったりしねェってのに。


…まぁ、隊長や先輩には後でたっぷりお仕置きしてやるつもりだが。



「なに、俺に触られんの嫌なのかィ?」


「ぁ、ちが…。」


「嘘つけ。今ビビッたろ。」



言いながら再び手を伸ばすと、サブローは一瞬ギュッと目をつむったが、俺が頭を撫でるのを黙って受け入れる。



「…俺、もうクルルに触ってもらう資格なんて無いんだと思ってた…。」


「ククッ、そりゃまた唐突だな。」


「だって俺…ギロロと…ッ、…キスしちゃったもん…っ、」


「…そうか。」


「俺はクルルとしたかったのにぃ…っ。」



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