ケロロ3

□惚れ薬
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クルルのラボの中、小隊メンバーがギロロを取り囲んでいた。


「惚れ薬、だと…?」


ケロロが差し出している小瓶をまじまじと見て、ギロロは眉間に皺を寄せる。


「そう、これは肌に触れるだけでも効き目バッチリの薬。これを夏美殿に浴びせれば、もう夏美殿はギロロに夢中!」

「な、夏美が…俺に…!?」

「ギロロ、私、あなたじゃないとダメ!愛してるわ!!」

「お、俺じゃないと、ダメ…!?」


ギロロにメロメロになった夏美の真似をするケロロに、ギロロはすっかりその気なようで、普段はつり上がった目を限りなく垂れさせ、赤い顔はさらに赤くなっている。


(ここまでアッサリとは、拍子抜けというかなんというか…)

(クククッ、さすがはギロロ先輩だぜぇ…)

(うーむ、いくらギロロ君の為とは言え、やはり薬に頼るのはよくないような気が…)


ギロロが夏美に惚れ薬を使うこの作戦。
狙いは面白そう≠ェ8割、侵略≠ェ2割。
侵略に反対するドロロには、ギロロの幸せとクリーンな侵略作戦の為だと伝えている。


「これを使えば、ギロロの幸せは勿論、上手くいけば夏美殿は我々ケロロ小隊の仲間になってくれるであります!」

「わーい!ナッチーが仲間なら地球侵略なんて楽勝ですぅ!」

「ククーッ、てゆぅかぁ、一石二鳥〜?」


これで作戦は上手くいく。そう確信した小隊はギロロを完全にその気にさせるため、さらに囃し立てた。


「……なこと……」

「ギロロ君?」


しかしそのとき、ガシャリという音と共にギロロが何かを呟き、その異変にドロロが気付いたが、遅かった。


「そんなことできるかぁあーー!!」

「ゲロォ!?」


やはり夏美の心を薬で手に入れるなんてできないと、ギロロはむりやり理性を取り戻し、銃を乱射したのである。

その弾の1つが、ケロロの持つ小瓶に命中した。


パリンッ


「しまった、小瓶が…!」

割れた小瓶に入っていた液体は飛び散り、近くにいた小隊に降り注ぐ。


「まずいぜぇ、みんな目隠しを…」


このままでは皆に惚れ薬が効いてしまい大変なことになる。
クルルが小隊に目を隠すよう言おうとしたその時、

プルルルルル 、プルルルルル

ラボ中に電話の着信音が鳴り響き、電話をかけてきた本人の顔がメインモニターに大きく写し出された。


「「「「「あ……。」」」」」







*******



「…おかしいな。来る前に電話しろって言ってたのに。」


いつまでも電話にでない相棒に、サブローは携帯の電話画面を見つめたまま首をかしげる。


今日は623としての仕事もなく、学校が終わったらクルルのところへ遊びにいくことになっていた。

“学校が終わったら”とはいえ、サボりが日常化しているサブローのこと。
いつ来るかは全く予想がつかないため、電話するようクルルから言われていたのだ。


「…なんか面白いことでもあったのかな?」


電話に出ないなら仕方ない。
面白そうな非日常(トラブル)のにおいに口角を上げ、サブローは日向家へと向かった。



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