長編

□多神星アルビア《異世界を創造スキルで生き抜く》2
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砂漠の国シャリー二の都市
《プジェト》



都市プジェトに黒曜達が辿り着いたのは夕方に近い時間帯だった
まだ日は沈みきってはいないが、地平線からは暗紫の空がこちらに迫ってきていた


城郭都市、と言うのだろうか?
魔物の侵略や戦などから都市を守る白く高い城郭には、掠れてきてはいるが色とりどりの塗料で人や様々な獣が描かれている

大きな門の前では、門番に沢山の人々が列をなして身分証を提示して入っていく


「案外あっさりと入れるものなんだな…」

身体検査も無く、仮の身分証を提示したら俺もすんなりと入れた
名前の確認すらされなかった

ここまで警備がガバガバだと不法行為し放題だろ、コレ

もしかしたらこの国の治安はあまりよく無いのかも知れない
財布は収納に入っているが、物を持っている時は街中でのスリに気をつけよう…


ま、スリや悪党は見れば分かるんだけどな?


自分のステータスを見る

−−−−−−
【名前】黒曜
【種族】異世界人
【年齢】0歳(13歳)

Lv.18/****

HP:85/∞
MP:840/∞
SP:840/∞
力:85/∞
魔力:****
素早さ:85/∞
命中:100/100
運:100/100

従魔:
ピル
プル

特殊スキル
鑑定眼Lv4/5
創造Lv1/4

−−−−−−

Lvが18に上がり、鑑定眼も都市に着くまでにLv4になり、以前よりハッキリと他人のステータスが見えるようになった

犯罪歴や詐欺スキルなどを持っているかどうかも分かる様になったので、多分騙されたりすることは無いだろう

ただ、未だに精神に関与する洗脳や魅了などのスキルが存在するのか分からないままだが…



ギルドへ向かう道中、ピルプルがどうしても街中が見たいと言うので仕方なく襟元を少しだけ開けてやった

『絶対に襟から外には出るな?
言う事を守らない奴はたたきつぶすからな?』

『『はいっ!!』』

思念で注意すると2匹は元気よく応える
そしてすぐに瞳をキラキラと光らせて、キョロキョロと街中を見回し始めた
うーん、心配だ…


歩く事、数分

街中の人に尋ねつつ、無事ギルドへと到着した

まだ治安の良し悪しは分からないが、道を教えてくれた人達は皆親切だった

鉄で出来た看板には、ギルドらしい剣と杖が重なったレリーフが掘られて壁に埋まっている

建物は頑丈な石壁作り、床は光沢のない安山岩で出来ていた

扉を開けると冒険者たちからの視線が一瞬だけこちらに向いたが、すぐに仲間の方へ戻った
砂埃対策の為か、俺と同じ様なローブ姿の奴らがギルド内にチラホラと結構いたから気にならなかったんだろうな


もうすぐ夜という事もあり、受付は空いていた

冒険者達は今日の仕事は終わっているのだろう、右手にある酒場で飲み食いしながら笑いあっていて、ギルド内はとても賑やかだ

こう言ってはなんだが、冒険者とはもっと荒れた奴らの巣窟の様な場所だと思っていた

たまに争う声が聞こえてくるが、それも仲間達が何かを言うと喧嘩しそうになっていた奴らの顔が青くなり、すぐにおさまる

それが少し異様といえば異様だった

俺はこの時そこそこに緊張していたので、ギルド内で喧嘩をすれば罰金でもあるのだろうかと深くは考えなかった


何故この都市やギルド内ではあまり争い事が起こらないのか

その意味は後々嫌というほど知ることになる



受付のお姉さんにギルドカードを発行して欲しいと伝えると、発行手数料として銀貨1枚かかると言われた

村で換金してて良かった…

それと世間知らずなのでギルドの事を詳しく聞きたいと言うと、お姉さんは笑顔で快く教えてくれた

なんと、ギルドには12歳から登録が可能らしい


意外と年齢制限が低いな…?


なので13歳なら問題なしとの事

最初はFランクから始まり、実績を積めばランクが上がるんだとか
この国のダンジョンはEランクなので、意外とすぐに入れそうだ

「なるほど
ありがとうございます」

「いえいえ
分からない事がございましたらいつでも聞いてください!
2階には図書室もございます
そちらにある資料なども無料で見ることが出来ますので、是非ご活用ください!」

お姉さんはにこりと微笑みながら、カウンターの下からステータスを記入する板を取り出して渡された

ゲームみたいに鑑定する石やアイテムなどがあるのかと思えば、自分で記入する方式らしい

都市に入ってから周りの人達や受付のお姉さんを鑑定眼で見て分かったのだが、どうやら鑑定や下級魔法である収納を持っている人がいないようだ

うーん…

これは収納が使えたり、鑑定が出来るのをあまり誰かに話さない方が良いかもしれない
何か変なことに巻き込まれてもイヤだしな

話を一通り聞き終えたので、後は名前などを記入するだけだ
ササッと終わらせて今日の宿を探そうと、チョークを手に取り下を向いた瞬間


ピルが胸元から転げ落ちた


俺は一瞬、思考が停止した


ピルがコロコロとそのまま転がるのを目で追う

受付嬢のお姉さんも黒いまりもが転がっているのを目で追っている

そして紙の真ん中辺りでピルが止まった

ピルピル震えながらこちらをゆっくり振り向いたのを見て俺は…


パーンッ!!

ぷちっ


あ、ちゃんと手は茶碗型にしたから潰れてないぞ?
たぶん

ぷちっていったのはアレだホラ

…悲鳴?


手をすっと引き、カウンターの下に隠してそっと確認する

うん
ピルピルしてるから生きてるな

「すみません、枕についていた綿が髪についていたみたいで
はははっ」

ご主人様、酷いですぅー!!
とピルピルしながら抗議しているが知らん
ちゃんと捕まっていなかったお前が悪い

「え?
でもなんだか動いてた気がし…」

「綿毛です」

「え、でも…」

「綿毛です」

耳かきの棒の先についてるやつです


それで押し通そうとしたのだが、俺は足音無き存在がすぐ近くにいる事に気付いていなかった


「あー!
それクロヘラだーー!!」


突然、隣で大声で叫ばれた


「え…!?」


あ、お前…っ!?




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