FEEL

□2人は狂犬
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俺は、いつも味気ない喧嘩を繰り返していた

殴られた殴り返す
蹴られれば蹴り返す

そんな喧嘩三昧の毎日
この生活がずーっと続くと思っていた


しかし


異変は突然訪れた



いつものように喧嘩をしてから俺は家に帰る
家に帰ってこないとオフクロが煩いから・・というか、はっきり言ってしまえば怒った時のオフクロが怖いからというのが本音だ

ガチャリと玄関の門を開けて、普段はあまり浮かべない笑顔であいつの名前を呼んだ

「シェン、ただいま」

俺にはもう一つ、いつもの日課としてやっていることがある
それは、家で飼っている大型犬の『シェン』を撫でること

俺が帰ってきた事に気づいたシェンが、勢い良く飛びついてきて懸命に尻尾を振っている

「お前ってホントに可愛いな〜」

それを見た俺は思わず、ぎゅーっとシェンを抱きしめる
親馬鹿と言われるかもしれないが、シェンは物凄く可愛い

いや、見た目とかじゃなくて中身がね

俺以外の人には懐かないってとこも、俺としては嬉しいので余計に可愛がってしまう


しかし、問題がある


シェンは真っ白な大型犬、しかも雄なので力が強く、撫でてあげるのも一苦労だ

それだけではない

くんくんと俺の服の匂いを嗅いでいるシェンは、いつもある一点に集中して匂いを嗅いでくる事がある

「こらっ、やめろシェン!」

しゃがみ込む俺のズボンの間に鼻を埋めて、押し上げるように匂いを嗅ぐシェン
それをひき離そうとするが、如何せん体がデカいから押しのけられない

「シェン、ストップ!」

命令をすると、シェンは耳を下げて下から縋るような目で俺を見てくる
こういう目を見ていると、許してやりたくなる・・・が、躾は躾だ

「あとでご飯持ってきてやるから、小屋に戻ってろ」

シェンは俺の言うことを素直に聞いて、自分の小屋に戻った







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