FEEL
□意地悪な主上
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「いったいなんでこんなめに・・・・ふえっくしゅん!」
誰だって3日間、気持ちの悪い黒い木の枝に逆さまに吊るされていればこう言いたくもなるだろう
仕事を終えて帰ってきた俺に、俺が住み着いている屋敷の主人は俺を蹴り飛ばし、首根っこを引っつかんで縄で縛り、ここに吊るした
ここに吊るした張本人のは
『何もできない脳無しにはそこがお似合いだろう?』
何もうつしていないような無機質の瞳を俺に向けてどこかへ行ってしまった
その、見下して残酷に微笑む姿が似合っているだとか格好いいだとかあちらこちらで言われて騒がれている
だが俺的には
は?
どこが?
おたく、頭のほうは大丈夫?
てな感じなんだが、他のやつにはあいつが素晴らしいぐらい格好よく見えるらしい
バッカじゃねえの・・・・
日が落ち、あたりの闇が暗くなっていくにつれ、俺はだんだんイライラしてきた
一つはあいつのせいだが、もう一つはどこからか漂ってくる血の匂いのせいだ
『おや〜?』
さっきから頭の上のほうでごそごそ音がすると思ったら、示威鴉という地獄の鴉がアホにしたように見下ろしている
『おちびちゃん、どうちたのかな〜?お母さんに捨てられたのでちゅか〜?』
げらげらと2枚の舌をだして笑いながら、胸糞悪くなる赤ちゃん言葉でおちょくってくる
確かに今の俺は小さいが、鴉と比べてみても、どっちもどっちという感じの大きさだろう
「・・うるさい・・・あっちに行け」
『そう言うなよ〜遊んでやるって言ってるだけだろ〜ん?』
するすると器用に枝に繋がれるロープを伝って降りてくる
「いい加減にしろ。羽を毟り取られたいのか・・・」
『なんだよつれないな〜、ちょぉっと遊んでくれればいいんだって〜』
やってられんな・・・・
腕に力をいれ、綺麗に整えられている爪で縛っている縄を切断する
体から縄が解け、久しぶりに地に降り立った。