FEEL

□校舎裏危険地帯!!
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「由宇、もう帰るのか?この前みたいに、自転車にひかれないように気をつけて帰れよ〜」
俺はいつものように自分よりは背が5センチは低いであろうダチの由宇をちゃかしながら手を振った。
「ちょっと!もうその話すんのはやめてよ。何回も言われたら、俺がめちゃくちゃ馬鹿みたいじゃないか!」
どッ、と教室にいる奴らが全員笑う。
そこに助け舟の高西がやってきて由宇をなだめる。
「お〜いみんな、笑い事じゃないぜ。ほんとに危なかったんだからな。ほら、由宇帰るんだろ?早く帰ろーぜ」
由宇といつも一緒に帰っている高西が由宇をひっぱって教室を出て行く。
「ねぇ秋人も一緒にカラオケ行こうよ〜」
そう言って俺の腕をこのクラスの女子が引っ張ってくる。
「ごめん、俺ちょっと用事あるから今度また誘ってくれよ」
「え〜っ、秋人いつもそればっかジャン!たまには遊びに行こうよ〜」
そーだそーだと他のダチも言ってくる。
こりゃそろそろやばい。
「悪いっ、いつか行くから!」
そう言って教室から廊下にでた。

俺はそのまま帰らずに別校舎の裏にある花壇に向かう。
別に俺は園芸部ではない、ただ昔から花を見るのや絵を描くのが好きなのでよく足を運んでいる。
それなら園芸部か美術部にでも入ればいいのだが、どうも他の人と一緒に何かしようは思わない。けっして他人といるのが嫌という訳ではないのだが、1人でいるほうがゆっくり観察できて、尚かつおちつく。

俺はいつものようにあまり大きくはないがいろんな花が咲く花壇に近づこうとしたら、何かに蹴躓いてそれをおもいっきししっかりとふんずけてしまった。
「うぐっ!」
・・・俺はどうやら人を踏んでしまったようだ。
あやまらなくては・・・
「すみませっ・・うわっ!」
俺は突然おこった浮遊感におそわれ言葉を詰まらせた。
どさっとうつぶせに転がりそうになりあわてて受身をとって怪我を免れたが打った膝が少し痛い。
どうやら俺がこけたのは踏んでしまった男がわざと俺の脚を引っ掛けたからだ。
俺の脚を引っ掛けた張本人は寝ていた体を起こしてお腹を押さえていた。

「いってーな、お前どこに目つけてんだ。」

お腹をさすりながらそいつは俺を睨んできた。
   
・・・やばい

心の中でそうつぶやいた。
俺がふんづけた奴はよりによって俺と同じクラスの長崎 修二(ながさき しゅうじ)だった。べつに名前を知っているからといって仲がいいわけではない。そいつは俺の高校で一番やばいといわれている不良だ。
こいつは授業にもまったくでず、屋上に行ってタバコをふかしたり、女子を何股もかけて遊んでいるとか、聞く噂はろくでもないことばかりだ。
「・・・・・・」
「おい。聞いてんのか?」
俺が考えを巡らせしゃべらずに黙っていると、長崎が俺の顔を凝視してきた。
それに気づき俺も目を向ける。
じーっと音がするんじゃないかというぐらい見つめられ俺はいたたまれなくなり横を向いた。

「ふ〜ん」

と突然、長崎は何を思ったのかいきなり座り込んでいる俺を押し倒してきた。そう押し倒して・・・ってなにぃ!?
「ちょっ、ちょっとまっ!んうっ!んつぅっ・・うんっ・・んんっ!!」
なっなっなぁっーーっっ!!!
長崎が自分の唇を俺の唇に押し付け、今叫んだのが禍して口の中に長崎の下を迎え入れてしまった。長崎は舌をたくみに使って俺の舌の裏をなめたり吸い上げたりして口内を荒ら荒らしく弄られ続ける。
ってかこいつかなりうまい俺も結構うまいはずなのにっ・・・って考えてる場合じゃないぞっ俺っ!
「う〜っ!!っなにしやがんだっお前!!」
俺はやっとのおもいで離れた長崎を睨みつけ袖で口から怪しく伝うだ液をおもいっきしぬぐった。
すると長崎は秋人を見て


「気に入った」


「・・・・・は?」
何を言い出すんだこの男は
「だから、気に入った」
「いや、そんなこときいてんじゃなくてっ!いや、やっぱりもう言わなくていい、離してくれ!」
そういうと俺は長崎を押しのけ、放り投げてしまったかばんを拾い上げ、いちもくさんに学校から家に走って帰った。だんじて逃げたわけではない。逃げたわけじゃないぞー!!


秋人が学校から走って出て行くのを見てから長崎はさっきキスで密着していた時に秋人の胸ポケットから抜いた生徒手帳を見た。
「へぇ、俺と同じクラスの御城 秋人、ね」
そうつぶやくとにやりと笑い、静かに立ち上がって校舎裏から去っていった。





 

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