FEEL
□体育倉庫危険地帯!!
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ぴんぽーん
朝飯を食べ終えた直後、玄関の呼び鈴が鳴る。
「はいは〜い!」
母さんが玄関の扉を開ける音がする。
「あら、咲さんどうしたの?えっおすそ分け?うれしい〜」
どうやら隣に住むおばさんが来たようだ。
あがってあがって、という声がしたのでオレは学校に行くことにした。
「あら秋人君学校?がんばってるわね〜、いってらっしゃい」
「はい、それじゃいってきま〜す」
学校に着き、教室に入るとクラスにいる連中が皆挨拶してくる。
「おはよー秋人!」
「おはよう秋人君。秋人君今日の日直にあたってるよ〜。」
女子に言われて黒板をみると、黒板の端に自分の名前が書かれていた。
「マジで?めんどくさいな〜。」
朝の授業はなんだったかな?
窓側の自分の席に座りながら考える。
オレの一番好きな体育が2時間目なのは覚えている。今日は金曜だし日直だから、けっこうすることがたくさんある。
そうこう考えているうちにHRが始まっていた。
「みんなきちんと座れ、出席をとるぞー。」
担任が出席を取り始めた。
一人づつ名前を呼んで確認している最中に突然、
ガラっ!!
と、乱暴に教室の前の扉が開いた。
「えっ?・・・・」
みんなそこに視線が集中し、誰しもが驚いて目が釘づけになっている。
オレも皆と同様に、というかそれ以上に驚いた。
「な、長崎・・・」
担任はありえない光景に、出席簿を取り落としてしまっている。
その反応は当たり前だ。長崎が朝のHRに出たことなんてこれまで一度もなかった。
入学式の時の開会式にもサボって来ていなかったのに、朝のHRに出るなんて前代未聞だ。
「あっ?なんだよ?」
当の本人は不機嫌なのか、担任につっかかる。
「何か言いてえんなら早く言えよ。ないんならいちいち呼び止めんなや。」
哀れ、担任は背が高い長崎に迫られて、はたから見てもかなり怯えている。
長崎の手が早いのは何も女にだけじゃあない。
喧嘩をするのも早く、そこらの奴らがかかっていってもかすり傷一つ付かないくらい強いらしい。
もちろん相手は再起不能なくらいぼっこぼこ。
そんな担任をひと睨みしてから、長崎は教室を見渡す。
そしてオレを見つけて、にやっと笑った。
やばい予感がする・・・
長崎は、怯える担任を無視してオレの席の前にやってくる。
「おはよう、秋人」
予感が的中。
教室が驚きで満ちたように感じたのは、多分オレの気のせいではないだろう。