短篇
□惚れたら負け
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ぽかぽかと暖かい日が差し込む生徒会室。
この学園に入ってもうすぐ2年、俺がここの会長になって1年になる。
会長になるまで、俺にはいろんなことがあった。
俺はこの学園に入るとき、当時のの3年に絡まれた。
なんか知らないけど俺の容姿が気に食わないんだってさ。
意味が分からん。
そういうのが時々あったので、そのときもダルイから早く終わらせよう、なんて考えてたのが悪かったのだろう。
前に気を取られすぎて、背後の奴におもいっきし殴られて倒れてしまった。
その上にでっかくてゴツイ、いかにもゴリラみたいな奴に乗っかられた。
あー、やばい。これはやばい。確実にぼこぼこにされるな。
のんきにそう思いながら、殴られてもいいように腹を決めていたら、上に乗っていたゴリラもどきが突然俺の上から吹っ飛んだ。
「1人相手に大勢って卑怯じゃない?」
突然の出来事で呆然となっている奴らを、俺を助けた奴が次々と蹴り倒していく。
おー、かっこいい。
ぱちぱちと拍手を送ると、一人で全員を倒し終えたそいつが笑って俺のほうへやってくる。
おまえどこの国の王子様?
俺がそいつをみた第一印象はそれ。
品のある顔と優雅さ、それになんといっても目立つ顔立ちに決め手が少し長めの金髪。
王子様以外に何がある?
その王子様は、殴られて血が出ていた俺の頭に自分のハンカチで抑えてくれる。
「次からはこういうことがないように気をつけなよ。」
そういって王子様は早々と立ち去っていった。
そのとき俺は礼を言うのを忘れていたことに気づき、慌ててあとを追ったが、そのときは見失ってしまった。
そのあと俺は、すぐにそいつが誰なのかを知ることができた。
次にあったのは生徒会選挙のときで、なぜか皆が俺を会長に指名した。
なぜだ?
俺じゃなくても、もっといい奴はいただろうに。
そんなこんなで会長になった俺は、生徒会の最初の集会でそいつに会った。
そいつは俺より1つ上の2年で、生徒会の副会長だった。
俺はそいつを少し、ほんの少しだけいい奴だと思っていた。
今思うとなんであんな奴をいい奴だなんて思ってしまったのか、自分で自分を疑いたくなる。
まさかあんな奴だったとは・・・。
「会長、今日も襲いたくなるくらい綺麗ですね。」
噂をしてたらやってきたよ、あのバカが。
俺の書類が乗ったデスクの前に、噂をしていたバカ王子がやってきて、気色の悪いことを平気で言ってくる。
この顔で口から出るのは、変態街道まっしぐらなセクハラまがいの言葉ばかり。
周りに生徒会役員は3人いるが、この光景が日常になっているので、誰も気にしていない。
いや、誰か気にしてくれ。
「先輩、早く仕事してください。」
俺はそっけなく返す。
こいつに付き合っていたら終わる仕事も終わらない。
「冷たいなー。そうだ!この前言ってたやつのこと考えてくれた?」
なんかいってたか?こいつの話、殆ど無視してるから覚えてないな。
まあいいや、これも無視しておこう。
「会長、僕達プリントをコピーして配ってきますのであとはよろしくお願いします。」
「わかった。」
役員の3人は、それぞれ大量のプリントを持って部屋を出て行く。
って、これじゃあこいつと2人っきりじゃないか!
「さあ誰もいなくなったし、2人でいいことでもしようか。」
・・・・・神様、このアホの頭に雷を落としてください。
それが無理ならどんな方法でもいいから、こいつをどっかにやっちゃってください!
「会長、もしかして焦らしてんの?まさか放置プレイ?俺はSMもいいけど、それはまだ早いから普通のSEXをしようよ。俺うまいよ?」
バカ王子が横に来て、俺に顔を近づけて、耳にヤバイことを囁いてくる。
ぷちっ。
どかっ!
ばたん。
最初のは、俺がキレてバカの股間を蹴った音で、最後はタイミングよく帰ってきた役員の3人が扉を開けた音である。
バカ王子は蹴られた場所が相当痛いのか、床にうずくまっている。
「ああ、またやっちゃったんですね。」
いつもどうりの現場に、役員の子達はいつもの様にバカ王子を起こしてソファーに座らせる。
それでもまだ、バカは懲りずに起き上がってくる。
「いい蹴りだね会長。でも蹴りをくれるんならもっと違うものが欲しかったな。」
俺は立ち上がってバカの横に行き、テーブルにたまたま乗っていた不幸な英語辞典で、おもいっきりバカを殴った。
バキっ!
アーメン。